アンバランスな愛-14
「ね、ポロ……じゃなかった、アメリア笑えたよ?」
「うん……見た。超可愛かった」
「ケイにプロポーズもしてもらったんだよ」
「うん……聞いた。すっげぇ嬉しそうだった」
「アメリアは……幸せになれるよね?」
「なれるさ」
ゼインが父親気分なら、カリーは母親の心境なのだ。
短い間だったが一緒に旅して、一緒に危機を乗り越えて……そのアメリアが手元から居なくなるのは少し寂しい気もする。
「私も幸せになりたいんだから……ゼインが居なきゃなれないんだから」
「分かった。幸せにする。約束する」
ゼインは擦り寄せた顔をカリーの首筋に埋めて約束したものの、少し考え直す。
「なぁ……その……結婚式とか……子供とか無理そうなんだけど……?」
冒険者稼業なので基本的に金は無い。
子種が無いので子供も無理だ。
普通の女性が幸せの基準にしている事が、ゼインには出来ないのだ。
「んもう!!私の言ってる事、全然分かってなぁい!!」
カリーはぐりんと身体を回転させて、ゼインの頬っぺたをぶにっと両手で挟む。
「……ぶみん……」
ごめん、と言いたかったのだろうが頬を挟まれたままなので妙な発音になった。
「ゼインが貧乏なのは4年も一緒に居るんだから知ってる!子種が無いのも一番最初に聞いた!!それと、魔物なのも分かってる!」
カリーは唾を飛ばしながらまくし立てる。
「それでも一緒に居たいの!私の幸せはゼインと同じ世界を見る事!ゼインと生きる事なんだからね!!」
だから、結婚式だの子供だのは望んでいない、とカリーは息を切らして言いきった。
「……ほぉれなや……れきそぅら……」
「は?」
モゴモゴ答えたゼインは、カリーの両手を引き剥がしてちゃんと答える。
「それなら、出来そうだ」
ゼインはニコッと笑い、その笑顔にカリーはボッと赤くなった。
「やっぱ、可愛いぃ〜」
久しぶりに間近で見たゼインの大好きな笑顔に、カリーはメロメロ。
きゅうっと首に抱きついてスリスリと甘えた。
「可愛いはあんま嬉しく……」
文句を言おうとしたゼインだったが、首に巻き付いたカリーの腕がピクッと動いたのでそのまま黙る。
その変わり、カリーを優しく抱き返して誘うように背中を撫でた。