アンバランスな愛-12
「んぅっ?!ん〜!!」
我に返ったゼインはスランの服を握って引き剥がそうともがく。
しかし、病み上がりで上手く力が入らずに、そのままベットに押し倒された。
「んっ……あ……」
舌が潜り込んできて巧みにゼインの口腔内を動き回る。
同時に耳の付け根をカシカシ掻かれれば一網打尽だ。
「ふあ……」
とろ〜んと蕩けたゼインは無意識にスランの舌を追いかけて絡める。
一瞬、スランが逃げるように反応したのに気づき、ゼインは不信に思った。
自分から仕掛けてきたくせに、とそっと目を開けるとゼインを捕らえていた黒い目がスッと動いた。
「!!」
スランの目配せの意図に気づいたゼインは、スランの首に両腕を回す。
もっとしてくれ、とせがむようにキスを返すゼインの服をスランはゆっくりと捲り上げていった。
「はっ……俺に……乗り換えるか?」
少し唇を離したスランは、ゼインの唇を舐めて囁く。
「男相手で嫌じゃなかったの……俺だけなんだろ?」
ザルスが言ってた、とスランはゼインの首筋に唇を移した。
「ぁう……ふぁ……余計な事……言いやがって……」
ゼインは苦笑してそれを肯定する。
「……そうだな……スランなら……良いな……」
男の中で一番好きだと答えたゼインは、目を閉じてスランに身を任せた。
が、その時。
「だめえぇっ!!」
天井板を突き破って、カリーが悲鳴をあげながらスランの背中に落ちてきた。
「ぐえっ」
「ダメダメダメダメ!!ゼインは私のぉっ!!」
そのままスランをゼインから引き剥がしたカリーは、2人の間に割り込んでゼインを背にスランを睨む。
「……捕まえた」
そのカリーの腰にゼインの腕が巻き付き、しっかりと抱き締めた。
「へ?」
カリーはスランを睨んでいた赤い眼を丸くして、きょとんとした顔をする。
目の前のスランはニヤニヤして、今にも大爆笑しそうな雰囲気。
「は……ハメたのね?!」
カリーが覗き見ているのが分かってて、わざとああゆう事をしたと気づいて、カリーは顔を真っ赤にして怒る。
「俺様が男に走るわけねぇだろうが、ぶわぁか」
スランはカリーの頭をぐしゃぐしゃに撫でてベットから降りた。