投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

アンバランス×トリップ
【ファンタジー 官能小説】

アンバランス×トリップの最初へ アンバランス×トリップ 243 アンバランス×トリップ 245 アンバランス×トリップの最後へ

アンバランスな愛-11

「あぁ〜…まず」

「お前な……高い酒に何て事言うんだ」

 一応、お前の快気祝いのつもりで買ってきたのに返しやがれ、とスランは顔をしかめ、ゼインの手から瓶を奪い取った。

「どこ行ってたんだ?」

「まあ、色々と……城ってのはどうも落ち着かなくてな」

 スランは酒を煽り、さらっとはぐらかす。
 そんなスランをじっと見るゼインの視線に気づき、スランは鼻で笑った。

「なんだぁ?寂しかったのかぁ?」

 ふざけてゼインの頭をぐりぐりすると、ゼインの耳がへにゃんと垂れる。

「はい?」

「……カリーが……会ってくんねぇ……」

 ぐすっと鼻を啜る音までして、スランはにわかに慌てた。

「なっ?!……ばっ……泣くなっ!!」

 女の事で泣くなんてカッコ悪いだの、男は涙を見せるもんじゃ無い、などと諭すスラン。
 ゼインは膝を抱えてそこに顔を埋め、頷いてはいるがぐずぐずと泣き続ける。

「う〜〜〜…ああっ!もう!分かった!泣けっ!思う存分泣きやがれっ!!」

 焦れたスランは両手でガバッとゼインの頭を抱いて、ぎゅうっと自分の胸に押し付けた。
 一瞬、固まったゼインだったが直ぐにスランの腕にすがりつく。

「ったく……」

 傷つけた事を謝りたいのに謝らせてくれない……何より、せっかく生きて戻れたのに会えないのが何より辛い。

 近くに居るのに……手が届かない。

 ゼインはぐすぐす泣いて、スランは黙ってゼインの頭と背中を擦り続けた。

「……ごめ……悪ぃ……」

 暫く泣いていたゼインはすんっと鼻を啜って、スランの胸を軽く押す。
 うっかり甘えてしまったが、かなり恥ずかしい。
 スランはチラッと背後に視線をやり、ゼインに気づかれないように鼻で笑った。

「ほれ、こっち向け……ああ……もう、ぐちゃぐちゃだな」

 スランはゼインの顔をクイッと上向かせると、シャツの袖口で顔を拭いてやる。

「ス……っ?!」

 スランの行動に戸惑ったのはゼインだ。
 これじゃまるで恋人同士のやり取りみたいだ。
 無様に泣いた恥ずかしさも相まって、ゼインの顔がじわぁっと赤くなる。

「お前、可愛い顔してるよな……泣き顔なんか特に最高」

「なっ?!」

 顔を挟んだ手に力がこもり、指が艶かしく頬を撫でる。

「なあ……シラフでもヤッてみたいっつったら、受け挿れてくれるか?」

 端正な顔と黒い目がゼインを捕らえた。
 ゼインは答える事が出来ずに硬直してスランを見返している。
 スランは答えを待たずにゼインと唇を重ねた。


アンバランス×トリップの最初へ アンバランス×トリップ 243 アンバランス×トリップ 245 アンバランス×トリップの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前