投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜
【学園物 恋愛小説】

ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜の最初へ ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜 49 ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜 51 ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜の最後へ

第五話-8

「君の記憶を消したのはボクだけど、それを願ったのもボクなんです」
「わかるように説明してくれ」
ぼくぼく言われてもわかりません。
「それじゃあ簡潔に言いますよ。ボクは……いいえ。『僕ら』は超能力者なんです」
その言葉を聞き、俺は咄嗟に身構えた。
「じゃあ、あんたや利乃がみんなから大切なモノを奪ってたっていうのか……!」
琴梨さんの視力も、日向さんのヘソも、一条さんの髪の毛も、マルの性欲も……全部、こいつらが……。
「そうですよ。だけど勘違いしないでほしい。利乃だって悩まされているんです」
利乃の姿をした時雨は、再び狐の仮面を装着した。
「利乃は、超能力を制御できていないんです」
「制御できていない……?」
「はい。利乃の意思とは関係なく、勝手に超能力が発動してしまうんですよ。でなければ、あなたからモミリンの記憶を奪ったりはしません」
仮面のせいで時雨の表情は窺えない。こいつの言っていることが真実なのか否か、俺にはわからない。
「……先輩」
不意に時雨の声音が変わったような気がした。
「……助けて、ください」
「えっ?」
「ボクは、奪いたくなんてなかった……」
泣いているかのような、時雨……利乃の悲痛な声。
「モミリンのこと、先輩のこと……知り合って間もないですが、大好きです……」
「ああ……俺もだ」
利乃は俺の大切な後輩で、友達だ。
「……ボク、超能力者なんです」
「それはさっき時雨から聞いたよ」
「知ってます。でも……」
利乃は少し間をあけ、
「神様じゃ、ないんです……」
呟くようにそう言った。
「神様じゃない……?」
部室のPCに何度か送られてきたメール。俺が『神様』と名付けたその相手は、誰が何をナクシたのか知っていて、挑発するかのような内容を送ってきた。
だからてっきり、神様と超能力者はイコールで結べるものだと思っていたのだけど。
「神様は、別にいる……?」
「はい。誰なのかはボクにもわからないんですけど……」
利乃も知らないやつなのに、超能力のこと――恐らく利乃や時雨のことも含めて――を知っている『神様』ってのは、一体誰なんだ……?


ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜の最初へ ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜 49 ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜 51 ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前