第四話-6
まさかSDカードまで確認されるなんて。
俺はケータイを閉じて膝を抱えた。
「俺の、瑞希が……ぜん、めつ……」
あんな瑞希やこんな瑞希は、もう二度と拝めないのか……。
「あ、諦めるなトモ!今から隠し撮りしてくれば大丈夫だー!」
「まだ懲りていないようですね」
突然の声にギクリとすると、俺たちに冷徹な眼差しを浴びせている瑞希の姿があった。
「み、瑞希、こ、今度はなんだよ?」
「なんだよじゃありません」
瑞希は室内を見回す。
「まだ紅葉ちゃんたちも来ていないようですね」
紅葉たちがいたら問題でもあるのだろうか?
「兄さんが大事にしていたデータ、全て確認してみました」
そう言ってSDカードを見せてくる瑞希。
「そうしたら、信じられない写真がいくつもありました」
「信じられないって、例えば?」
「着替えてるのを上から撮ったものですとか、お風呂に入ってるのを上から撮ったものですとか、エトセトラ」
「ふんふん。それで?」
「兄さんは仮にも探偵を目指しているというのに、盗撮なんてしていいんですかね」
「盗撮って言ったって、妹だし」
「そうだぞー。瑞希が可愛いからいけないんだー」
瑞希は眉をピクピクさせている。こりゃ相当キレてるな。
「反省の色がまるで見られないのですが」
とうとう怒りで声が震えはじめたらしい瑞希さん。
「兄さんは、私が着替えてる写真を、何に、使っていたんですかね」
「何って、可愛いなーと思いながら眺めたり」
「そ、それはつまり、邪なことを考えて、私を、お、おか、ずにしていた、とか、ですか……?」
「…………は?」
瑞希のやつ、何を馬鹿なこと言っているんだ?
「お姉ちゃんはしてたぞー」
「え、えぇ!?姉さん!?それってどういうことですか!?」
「そのままの意味だが。だってさー。瑞希を見てたらムラムラしてくるんだよー。仕方ないだろー」
いや、それは姉としてどうなんだ。
「安心しろトモ。お前を見てもムラムラするぞー」
「安心できねー……」
もしかして俺の部屋にも盗撮カメラとかあったりして……怖いな。