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ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜
【学園物 恋愛小説】

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第四話-3

「今の暴言は見逃してやるからよぉ、その代わり神代瑞希の水着写真くれよぉ」
「ざけんなよ?」
「知ってんだぞぉ、お前のケータイに神代瑞希のエロ画像入ってんだろぉ?」
「入ってねーよ」
去年の夏、海に行ったときに記念で撮った水着の瑞希の写真なら入ってるけど、別にエロくないしな。
「って話がずれてる。結論を言うと、俺らのトシで性欲がないのはおかしいってことだな?」
「そうだなぁ。女にムラムラしないなら、クィアかキモオタの可能性はあるがなぁ」
「く、くぃあ?」
頼むからわかるように言ってくれよ。
「とりあえず役に立つ知識だった。ありがとうございます」
「顧問として当然だぁ」
顧問なら普段から部室に来てほしい。
俺はケータイを取り出し、『瑞希』という名前のフォルダを開く。
「見せるぐらいなら」
「あん?」
その中から水着の瑞希の写真を選択し、画面一杯に表示させる。
「どうだ!」
自慢するように、その画面を須藤に見せつけてやった。
「うおっ!?なんだお前これ!?妹おかずにしてんのかぁ!?」
「してねーよ」
なんでそうなるんだ。
「お、おいそれてんそ……あーいや、なんでもねぇ」
不意に須藤が興味を失い、紅葉のほうへ近寄っていった。
「あいつってシスコンだったのかぁ?」
「……そうみたい」
聞こえてるぞこら。誰がシスコンだ誰が。
「ったく、兄の特権に嫉妬してやがるな」
「へぇ」
ケータイを閉じようとすると、背後から何者かにケータイを奪われてしまった。
「おいこ、ら……」
俺の背後に立っていたのは、笑顔で体を震わせている瑞希だった。
「こんな写真をまだ持っていたんですか、兄さんは」
「ふふん」
「別に褒めたわけではないので、威張らないでください」
「そんなことより、ケータイ返してくれよ」
「待ってください。今全件削除している最中なんですから」
「ちょっ!?なに人の写真勝手に消そうとしてんの!?」
「兄さんこそ、明らかに隠し撮りしたような写真がいくつかあるんですけど……!?」
『眠る瑞希A』とか『着替え中の瑞希A』とかのことか。
「お前の結婚式の時に、ほら、スライド?あれで使おうと思って」
「本当に使ったら殺しますからね……!?」


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