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ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜
【学園物 恋愛小説】

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第三話-7

「ああ。言ってたな」
「その超能力は、人の『愛情』に応えるんです」
「愛情?」
「はい。思い返してみてください」
琴梨さんは視力を奪われた。それは姉の琴梨先輩が『妹に甘えてほしい』ために、琴梨さんの失明を願ってしまったから。
「…………」
日向さんはヘソを奪われた。それは大好きな天之川の「ヘソが気持ち悪い」という照れ隠しの言葉を真に受け、好きな人に嫌われたくないがために『ヘソなんてなくなってしまえばいい』と願ったから。
「…………」
たしかにどちらも『愛情』が関係しているかも。
俺は今まで人の『願い』を叶えているだけなんだと思っていたが、雲木の言うことが本当なら少しばかり違うみたいだな。
「言われてみれば、そんな気がしないでもない」
「それを踏まえて、一条先輩の髪が消えるよう願ったのは誰なのか、考えてみてください」
「ああ……」
雲木はソファを跳び箱のごとく飛び越え――だから下着見えるって――、そのままソファに着座した。
それにしても雲木、超能力を見たと言っていたが、それにしても詳しすぎやしないか?考えすぎだろうか。
「俺は写真でしか見てないけど、一条の髪は綺麗だと思ったぜ。紅葉は?」
「私も……」
なら答えは簡単。犯人は一条の髪が羨ましくて、消えてしまえばいいと願った人物。
「…………」
いや、それだと『愛情』に応じていることにはならない。
「愛情で髪を消したいと思うのは、どういう時なんだ……?」
琴梨さんの例に倣うと、一条の髪がなくなったら甘えてもらえる人物……?
それとも日向さんの例に倣い、好きな人に髪をバカにされて消えてしまえと本人が願った……?
ありえるとすれば前者だ。もし後者なら、一条はあれほどまでに落ち込まないだろうし、何より彼女の髪は綺麗だったからな。実際に見たことはないが。
「なぁ紅葉。もし髪が消えたら、お前ならショックか?」
「……うん」
「そうか……そうなったらお前、誰に助けを求める?」
「……家族、友達……恋人……」
「え?お前恋人いんの?」
「いない……」
そうだよな。紅葉に恋人なんているわけないよな、うん。
「家族に、友達に、恋人か……」
「ボクは、恋人の線はないと思いますよ」
「根拠は?」
「髪のない、つまりハゲツルの頭を恋人に見せようなんて、乙女が思うはずありませんから」


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