第三話-10
ふたりは抱き合い、喜びをわかちあっていた。
「ところでさ、ふたりは何がきっかけで仲良くなったんだ?」
「えっ」
ピタッと瑞希の動きが停止する。
「だって私たちふじょ」
「わーわー!兄さんには言わないでください!」
一条の言葉を遮り、瑞希が慌てた様子で両手を上下に動かす。
「なんだよ。俺に知られたら困ることなのか?」
「そ、そうですっ!乙女の秘密なんです!」
「はぁ、兄ちゃんは寂しいぞ……1年前までは、一緒にお風呂に入って洗いっこしてたっていうのにな」
あの頃の瑞希が一番可愛かった。今も可愛いけど。
「へぇ。薄々そうなんじゃないかとは思っていたけど、やっぱりねぇ」
一条は意味深にニヤリといやらしい笑みを浮かべた。ってか髪の毛が戻ってきたからなのか、さっきまでと雰囲気が違うぞ。
「な、何がやっぱりですか!わ、私は別に、その、嫌だったですけど、兄さんがどうしてもというから、仕方なくですね……」
何を口からデマカセ言ってんだこいつ。瑞希が「兄さん、一緒に入りましょう」って誘ってきてたんだろうが。このブラコンめ。
第三話〜髪の毛を失った少女〜
【終】