セフレだった女-9
「やあっ……、あ……ん」
焦らされているその舌の動きに、しがみつくように絡まる指先は、陽介の無造作にセットされた柔らかい髪の毛を乱していく。
その一方で、下半身に伸びてきた手はスカートの中に回り込んでショーツの上から恥裂をなぞったり、太股の付け根をくすぐったり。
上も下も肝心な所に触れてもらえないもどかしさに、だんだん気が狂いそうになってくる。
無意識の内に開いていく脚は、早く奥に触って欲しい無言の訴えなのに、知らぬ振りで這いずりまわる指や舌はあと少しのポイントをわざとよけて攻め立てる。
「んん……っ、よ……うす……け……おね……がい……」
「どうした?」
本当に陽介は意地悪だ。
あたしがして欲しいことを知ってるくせに、わざとこうして焦らしてばかり。
「わかる……でしょ?」
「いや、全然わかんねえ」
「…………」
もう耐えられなくなって、あたしは涙目になりながらショーツを脱ごうとそれに手をかけた。
でも、その手を陽介が遮る。
裸になって目一杯気持ちよくなりたいのに、それすら止めるなんて。
「陽介ぇっ……!」
悲痛にも聞こえる声で彼の名前を呼べば、途端に熱いキスが再び落とされた。
「ん……っ、ふうっ……」
しばらく絡んだ舌をゆっくり離すと、ツーッと銀色の細い橋が架かる。
「陽介……あたし……」
「はは、ゴメンな? もの欲しそうにしてるメグが可愛くてつい意地悪しちゃった」
「う……」
恨めしそうに睨み付けると、フニャッと相好を崩す陽介。
こんなことしてる最中なのに、無邪気に笑う彼を見てると胸が苦しくなる。
「……陽介、好き……、大好き……」
たまらず彼の背中に腕を回しながら思いの丈をぶつける。
言葉だけじゃ足りないけれど、言葉で伝えるしか手段は知らない。
あたしに出来ることはこれしかないのだから。