選択-5
「み〜つけたぁ〜♪」
「「「へ?」」」
ドラゴンは全然似合わない間延びした口調で言葉を発すると、バサリと翼を打ち付けてゆっくりと降りてくる。
「い……今のって……」
「エン導師?」
「え?じゃ、これアビィか?デカくねぇ?」
3人はキツネにつままれた気分で隠れていた木陰から出て、降り立つドラゴンを待った。
「ポロ!!」
ドラゴンが地面に着地する直前、そのドラゴンから影がひとつ飛び降りた。
「……ケイ……さん」
影……ケイは不恰好に地面に降り立つと、足を縺れさせてポロに駆け寄り……。
がしっ
「きゃっ」
思いっきりポロを抱き締めた。
「ケ、ケ、ケイさん?!」
いつもポロを気遣ってこんな無理矢理というか……勝手に触れたりしないケイが、いきなりの暴挙にでたのでポロはただただ驚いた。
まあ、結構乱暴なのに喜んでいる自分に一番驚いているのだが。
「あ、あのっ」
ぎううっと強く抱き締める腕の中で、ポロは戸惑いつつ顔を上げる。
ケイは見ないで、と言うようにポロの顔を自分の胸に押し付けると、とんでもない事を口走った。
「俺の嫁さんになって!!」
「ひっ?!」
あまりの内容にポロは息を飲んで固まる。
「俺、ポロが好きだ!離れて初めて気づく馬鹿だけど、ちょっと……いや、大分年上だけど……勿論、ポロが嫌なら仕方ないかもなんだけど……何もしないで諦めたくないんだ」
ケイの怒涛のような告白に、ポロは頭の中が真っ白になる。
「あ……でも……私……奴隷……」
「じゃ、俺の専属になって!」
「それに……人間じゃないかも……」
「そこ、全然問題にならないから」
いや、大問題だと思う……戸惑うポロは視線をさ迷わせて助けを求める。
その視線の先に、カリーが両手を組んでうんうん頷いているのが見えた。
そうだ……ゼインだって魔物だというのに誰も気にしていないじゃないか。
自分にも同じ気持ちを向けてくれている……ポロは遠慮がちにケイの背中に腕を回した。
「ポロ」
「あ、あの……私も……ケイさん……特別です……その……好きって感情がいまいち分からないんですけど……ケイさんの腕は……暖かい……です」
だから触られていたい、この腕に包まれていたい……ポロの精一杯の告白だった。