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あいかわらずなボクら
【青春 恋愛小説】

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VS欲望-11

―――昌斗のことがなかったら。


何も知らない状態で郁美と出会って、こんな可愛い娘に付き合って欲しいなんて言われたら、手放しで喜んで付き合っていたと思う。


そうすれば、石澤とも関わりを持たずに、郁美と時には喧嘩したりしながらも楽しく付き合っていただろう。


あ、でも倫平と沙織が付き合えば自然とあいつと関わってくるのかな。


そして、友達になって……。


「はい、今その女のこと考えてたでしょ」


頭の中を見透かしたようなことを郁美に突然言われ、ギクッ身体を震わせた。


気まずさでつい顔を背ける。


そんな俺に、郁美は呆れたように


「ホント修ってデリカシーなさすぎ。こんな話してるときまでうわの空になるの、やめてくれる? 二人でいてもたまにボーッとしてたけど、ここ最近特にひどいよ」


と、笑った。


「……わりい」


「……でも、そこまで無神経だとかえって清々するかも」


そう言って、郁美はまたストローに口をつけた。


何も言えずに郁美の動作を見守っていた俺に、


「修は鈍感で無神経でがさつだけど、そんなとこもひっくるめて大好きなんだよね。だから、どんな卑怯な手を使ってでも修のこと離したくなかった。あたしがいいなって思う男の子はみんな、あたしのこと好きになってくれたから、修だってあたしのこと好きになる自信があったけど……。

やっぱり最後までダメだったね、負けちゃった」


卑怯な手と言うのが引っかかったが、その時の俺は、それは彼女がワガママを通して無理矢理ヨリを戻したことだと思っていた。


本当の意味を知るのは、さらに数日後になる。


眉根を寄せる俺を見つめていた郁美は、なぜかプッと噴き出して、


「サヨナラしてあげるから、そのデリカシーのないとこ治しなよ。桃子は男の子に免疫ないから一気に幻滅されるわよ」


と、サラリと妙なことを言った。




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