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『由美、翔ける』
【スポーツ 官能小説】

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『由美、翔ける』-7


 ジィィィィィッ!

「は、あぅ……!」
 由美は、パネルを操作して、水勢を最大にした。

 ジィィィィィッ!

「くっ……あっ……んんっ……!」
 二倍になったそれが“出口”に直撃して、直腸に逆流してきそうなほどの勢いで、由美に刺激を与え続けた。
(こ、こんな、ヘンタイなこと……)
 ウォシュレットを使って、意図的に“出口”に刺激を浴びせている由美は、間違いなく、性的な戯れに酩酊を始めている。
(おしりに、こんなことをするなんて……!)
 それを咎める理性はあれど、水流を浴びる部位から走ってくる背徳的な気持ち良さは、由美に悪魔のささやきを繰り返して、彼女をその場にとどめ続けた。
「はぁ……ん……あ……んん……!」
 便座を軽くきしませながら、腰が妖しく蠢いている。コートの上では毅然とした表情で、鋭い声音で指示を出す由美なのだが、今の姿を誰かが見たら、これまで築き上げてきたイメージは全て、崩壊することであろう。
(あそこも……濡れてる……)
 ウォシュレットで“出口”に受けた甘い刺激は、由美の秘処にも影響を及ぼしていた。陰唇の部分に潤いが生まれて、ひくつきを始めたのだ。
「んっ……!」
 由美の指が、そこに触れた。“出口”に受けているのと同質の痺れが、触ったところからあふれ出し、由美の指に絡んだ“蜜”のように、彼女の体を甘い愉悦で包み込んだ。

 にち、にち、にち……

「は、ぅ……ん、んぅ……」
 指が、濡れ光る溝に沿って、艶かしく上下している。ウォシュレットの水流の余波も、その手に浴びることがあるので、たちまち、由美の右手は“水浸し”になってしまった。
(こんなこと、しちゃ、ダメなのに……)
 理性の呟きはしかし、悪魔のささやきを凌駕しなかった。ウォシュレットの水勢を浴びる“出口”と、自らの指で慰める“入口”から、それぞれ同時に沸きあがる愉悦が、由美を夢中にさせていた。

 にち、にち、にち……

「ふ、ぅん……ん……んんっ……ぅ……!」
 腰回りに纏わりつく、甘美な痺れ。ことあるごとに“堅物”と桃子に言われているが、由美とて年頃の女子なので、中学生の頃から、身体に興奮を覚える時は、自慰をすることもあった。

 ジィィィィィッ!

「くっ、んっ……んぁっ……!」
 だが、ウォシュレットの水勢を最大にして“出口”を刺激する行為を絡めるようになったのは、本当に最近の話だ。お尻に与えられた記憶を呼び覚ますその刺激は、“入口”への愛撫と相俟って、由美に一段高い快楽を与えてくるようになった。
(おしりと、あそこが、へんになるっ……!)
 一度それを憶えてしまえば、戻ることは困難だった。身体に性的な興奮を感じた時、状況が許せば、こうやって“入口”と“出口”を同時に、慰めて苛める事が、最近の由美の自慰における“スタンダード”になっていたのである。

 ゴボボボボッ……

「やっ、なかに……!」
 勢い余って、直腸の浅いところまで水流が逆流する。
「んっ……く……あ、あっ……!」

 ブシュゥゥッ、ブビッ、ブブッ……!

「ひっ、あ、あぅぅっ!」
 括約筋に力を込めて、それを排出すると、激しい水の流れを内側にも生んだ“出口”は、その裏返るような刺激によって、さらに強い快感を由美の中に起こした。
(ヘンタイ……! わたし、ヘンタイっ……!)
 お尻でこうやって、いやらしいことをしている。それが、常軌を逸したことであるとわかっていながらやめられないのは、その刺激に魅せられてしまったからだ。
 由美は、公園での脱糞によって、図らずも“A感覚”を開眼させられたのである。その自覚はなくとも、身体は間違いなく、“お尻も、気持ちよくなれる場所”だということを認識して、由美の持っている快楽の中枢神経にメモライズされたのだ。
「あっ、あっ……やっ、く、くるっ……きちゃう……!」
 “入口”からか、それとも、“出口”からか…。
「あ、ン……やっ、あっ……あ、イクッ……あぁっ……!」
 どちらともつかない激しい波が押し寄せて、それに促されるまま弾けて、由美の背中は反りあがった。
「あ、ああ……ああぁあぁっ……!」
 びくびくっ、身体を強く震わせて、達したことをその反応で知らしめる由美。
「はぁ……はぁ……は、ふぅ……」
 引いては寄せる波を受けながら、白濁した意識の中にたゆたい、由美は絶頂の余韻を愉しんでいた。
「………」
 ウォシュレットのパネルを操作して、水を止める。水勢を元に戻しておいたのは、最大になっているその不自然さを、隠匿するためだ。
「また、こんなことを、してしまった……」
 自慰そのものは別段珍しいことではない。だが、ウォシュレットで“出口”を刺激するという行為は、明らかに普通ではない。

 カラカラカラ……

「ん……」
 と、ロールペーパーを手に巻き取り、蜜に濡れた“入口”と、水に塗れた“出口”を拭う。水気が非常に多いため、何度もそれを繰り返して、由美の股間はようやく、清浄で清楚ないつもの面持ちを取り戻した。

 ザアァァァ、ゴボボボ……

 その後、最大の水勢によって飛び散った便座周囲の水滴も綺麗にして、由美は、ペーパーで満載になった便器を、水洗を操作することで、全て水に流した。
「………」
 水も紙も、とんだ無駄遣いをしてしまった。寮長がこれを知れば、間違いなく叱責して罰則を与えるに違いない。もしもそれが“トイレ掃除”だったとしたら、あまりにも皮肉が利きすぎているところであろう。
「はぁ………」
 鬱々とした溜息を、由美は零した。
(まったく、もう……ほんと、どうかしてるわ……)
 排水管を流れていったモノたちのように、己の身体の中に残ってしまった懊悩までは、流し去れない由美であった…。


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