『由美、翔ける』-39
そのまま、身を寄せ合って、眠りについた由美と八日市。
「ん……」
やがて朝を迎えて、先に目を覚ました由美は、幸せそうな寝息を立てている愛しの彼を目覚めさせないよう、その唇にちょっとだけキスをしてから、ゆっくり身を起こし、シャワーを浴びて身体を拭いて、全裸のまま部屋に戻ってきた。
「………」
そして、“お泊りセット”の中にある、桃子から贈られた“悩殺グッズ”を、由美は取り出した。
(オ、オトコノコの、あこがれだから……)
今は正気なので、ためらいがある。それでも、何かに励まされるように、由美は、純白一色で、ところどころにフリルのついたその“エプロン”を、裸のままで、身に纏った。
(桃子って、ほんとすごいわ。こんなに可愛いの、自分で作ってしまうんだから……)
ちなみにそれは、桃子の完全お手製による一品である。シモネタ大好きの、豪放磊落に見える桃子だが、裁縫全般を得意としており、由美もよく、縫い物の手ほどきをしてもらっていた。
「さて、と……」
たとえ裸の上からでも、エプロンを身に着けてしまえば、由美の心は“家事”に向く。八日市のために朝食を用意しようと、キッチンに立った。
背後から見れば、その、締まりのあるおっきな“お尻”が丸見えになっていて、とても滑稽であるが、由美はいたって真面目に、朝食の準備に勤しんでいた。
…ちなみに、献立はなんでしょう?
(よっくんの好きな、ちょっと甘口のスクランブルエッグ)
…ごちそうさまでした。
冷蔵庫から卵を取り出し、それをボゥルに割り入れて、菜箸で手際よくかき混ぜていく。温めたフライパンに、バターをひとかけら落としてから、溶けたそれをフライパンのサイド部分に至るまでじっくり行き渡らせて、味を調えたボゥルの中身を、一気に注ぎ込んだ。
じゅわぁ…
と、“幸せの音”を響かせながら、フライパンの中で、広がった卵に熱が通っていく。
「♪♪♪」
新婚ほやほやの新妻よろしく、由美は鼻歌交じりに、フライパンの中で菜箸を見事に操って、八日市の大好きな“甘口スクランブルエッグ”を作り上げていった。
「おはよぉ、ユミさん……」
フライパンの中で、梳き卵が焼きあがっていく音に、八日市も目を覚ましたのだろう。まだ寝ぼけ眼のそれをこすりつつ、彼は、部屋からキッチンへと姿を現してきた。
「あ、おはよう、よっくん」
由美は、自分が今、どんな姿をしているか、忘れているように、火を扱っているので背を向けたままではあるが、ごく自然に“朝の声”を返していた。
「うわっ!?」
従って、キッチンに入るなり、素っ頓狂な声を挙げながら動きを止めた、八日市の瞠目する姿は、目に入っていなかった。
「ユ、ユミさん、なんて格好してるんですか!?」
その声を聞いて、由美は自分が今、真っ裸の上にエプロンを着ているだけの“裸エプロン”だということを、思い出した。
「え、えっと……オトコノコの、あこがれって、聞いたから……」
期せずして、丸見えになっている“おしり”が、ふるふると揺れる。
「さ、誘ってるんですか!? 誘ってるんですね!?」
「よ、よっくんっ、あっ、だ、ダメっ……!」
背中から羽交い絞めされるように、八日市に抱き締められた。
彼はまだ、真っ裸だったので、硬いものが、ちょうど、おしりの溝にはまり込むようになっている。
「火を止めてから……あ、あんっ!」
火を止めるのと同時に、エプロンの上から、胸を揉まれた。
「よ、よっくん、あ、あんっ、んっ、んんっ……!」
その手つきは、異常に興奮しているようで、とても荒々しく、由美は昨夜の情事を思い出し、たちまち甘い声を挙げ始めた。
「よ、よっくんのが、おしりに、あたってるっ……!」
「ええ、あたってますよ。ユミさんの、丸出しのかわいいおしりに…」
胸を揉みながら、己の固くなった“陽茎”を、由美のおしりの溝に押し当てて、八日市はそれを上下していた。
「あ、あんっ……やっ、あ、あっ……ん、んんっ……」
“痔”になるといけないので、その部分へのあからさまな接触はないが、おしりの溝を上下するその動きは、周辺部分への刺激となり、その部位に性感のある由美をたちまち悶えさせた。