『由美、翔ける』-27
「なるほどぉ……」
由美から顛末を聞き、八日市は物凄く納得したというような、腑に落ちた表情をしていた。膣口を狭める“処女膜”が、あらかた裂けてしまっていたからこそ、非常にスムーズな挿入になったわけである。
「あ、あの、ごめんなさい」
「どうして、謝るんです？」
「え……だって……」
自分は間違いなく“処女”だが、それを示すものがなかったことに、残念に思っているのではないかと、懸念したのだ。そのあたりは、“耳年増”すぎることの弊害かもしれない。
「………」
ず、ずんっ……
「ん、あっ……！」
不意に、腰を前後されて、甘い衝撃が体中に広がった。膣内に違和感はあれど、痛みは全く感じなかった。
「よ、よっくん……！」
「ユミさんが、痛い思いをしなくて、僕、良かったなぁと思ってるんです」
「え……」
ず、ずんっ……
「あ、あぁんっ……！」
「こんなふうに、すぐに、気持ち良さそうになってくれるのも、うれしいんですよ」
「よっくん……」
腰を前後されて、甘い衝撃を身体に受けて、そこに八日市の優しい言葉を浴びたものだから、由美は胸がいっぱいになって、それが瞳の端から雫になって、零れ落ちた。
「ユミさん、いっぱい、動きますよ……」
「え、ええ……ん、んんっ、あっ、ああっ……！」
その雫に唇を寄せてから、八日市は腰の律動を開始させた。
ずん、ずん、ずん、ずん……
「あっ、んっ、んんっ、あっ、あぁんっ……！」
その動きが素早くそして定律なのは、やはり、初めて女の中に入ったという興奮が、余裕を失わせているからだろう。
「ユ、ユミさんの中、気持ちいい……！」
“センズリ”とは全く違う抱擁を、“陽茎”に浴びているから、それをとにかく愉しみたいという欲望にも、脳内が満ち満ちているに違いない。
ずん、ずん、ずん、ずん……
「あっ、よ、よっくんっ、あ、んっ、い、いいっ、いいのっ……！」
「ユミさん、ユミさん……あ、ああっ、ユミさん……！」
とにかく夢中に、腰を擦り付けあう二人。初めて同士のつながりとは思えないほどに、激しく淫らな悶え方をしている。
「ユ、ユミさん、ごめん、僕、もう、がまんできない……！」
「い、いいのよっ、あっ、あっ、い、いっぱい、だしてっ！ あ、ぁ、んんっ！」
交わってから、数分と経たずに、八日市が己の限界を訴え始めた。そして、由美もまた、彼には思う存分に、自分の中で果てて欲しいと願っていた。
「好きっ、好きよ、よっくん、だから、あっ、あっ、わ、わたしの、なかで、いっぱい、いっぱい、だしてぇっ！！」
「ユミさん、好きだ、ユミさん、ユミさん、ユミさぁあぁん！」
あ、と、八日市が短い声を挙げた。
「んっ、あぅん！」
刹那、由美の一番奥深いところまで、彼の硬く熱く滾った“陽茎”が入り込んできた。その衝撃を浴びて、由美は、性の高みに手が届き、一瞬だけのエクスタシーに、体をひと震えさせた。
「あ、ああっ、ああ……」
それとは違って、ぶるぶるぶる、と八日市の身体は、何度も震えている。被せたスキンの中に、射精をしている様子なのは、聞くまでもない。
「よっくん……いっぱい、だして、ね……」
「はい……」
射精に震える八日市の体を優しく抱き締めながら、初めて繋がったこの甘いひと時に、満足そうな笑みを浮かべる由美であった。