濃厚接触タイム-8
「そろそろかな。」リビングでケンジと二人、コーヒーを飲んでいたミカが時計に目をやって言った。
「え?何がだ?」
「第一ラウンド終了。おそらく二人はシャワーを浴びるために降りてくるはずだよ。」
「シャワー?」
「そ。龍は一日中布団で寝てて汗かいてるし、真雪もシャワーまだでしょ?いくらタオルで拭いてやったとしても、その後激しく愛し合えばまた汗まみれになる。そうでしょ?」ミカはケンジにウィンクした。
「そうだな。確かに。」ケンジはコーヒーを口に持っていった。
階段を降りてくる二つの足音が聞こえた。
「ほらね。」ミカが言って立ち上がった。
シャワーを済ませてバスルームから出てきた真雪と龍はリビングに顔を出した。
「母さん、」
「なんだ?龍。」
「俺、すっかり熱下がったみたいだ。」
「何だかすっかり元気になったみたいじゃないか、龍。」ケンジが言った。「真雪のお陰で。」
「な、なんであたしの?」真雪が少し恥ずかしげに言った。
「熱冷ましには、いっぱい汗をかくのが効果的、って言うだろ?」ミカもおかしそうに言った。「そうそう、あんたらがシャワー浴びてる間に、ベッドのシーツと布団カバー、新しいのに替えといたから。」
「え?ほんとに?」龍が言った。
「ありがとう、ミカさん。気を遣ってもらっちゃって・・・。」
「気持ち良く二人で眠りたいだろ?」ミカは二人に向かってウィンクをした。横のケンジは笑ってまたカップを口に持っていった。
「どんな薬より真雪の身体が一番効くってことがわかったよ。龍の風邪には。」ミカも満足したようにコーヒーを口にした。