〈悲哀奴隷・銭森瑠璃子〉-7
『へえー、結構デカいし色も綺麗だな』
『もう乳首勃ってますね。感じちゃってますよ?』
ジロジロと眺める部下達の目の前で、専務は一人占めするように胸肉を両手で掬うと、既に膨れてしまっていた桃色の大きめな乳首を摘んで捏ねくり回した。
(嫌あッ!!こんな…こんな男に…ッ!!)
丸く、しかし鋭く尖る胸肉の弾力を楽しみながら、専務の指は器用に乳首を弄んでその硬度を増幅させていくと、白い肌はジットリと汗ばみ、瑠璃子自身が新鮮な果実のように瑞瑞しさを増していく。
『オ〇ニー止めんじゃねえ……クックック……玩具にされて悔しいか?悔しいだろうなあ?』
「く…ッ!!くく……!!!」
自分から男の指先に性器を擦りつけ、胸を弄ばれている様はしっかりとカメラに収められている。
「春奈は捕まらない」
そんな啖呵を切ってはみたものの、今の瑠璃子には、そう思う事が出来なくなっていた。
美津紀も文乃も、麻里子だけは捕まらないと信じていたはず。
いや、誰もこんな犯罪が行われていたとも知らずにいたのだ。
美津紀も文乃も、まさか自分達が拉致され、異国の地で性の奴隷にされるなどと夢にも思わなかったはずだ。
そして何も知らない春奈は無防備そのもので、明確な危機を知る術もないはずだ。
瑠璃子はあの日の麻里子と同じ思いに駆られていた。そしてそれは春奈には届く事は無い……。
『なあ、俺達は美津紀達だけを拉致ったワケじゃないんだぜ?お前の従姉妹の夏帆や芽衣も姦してやったんだ……』
「!!!!」
今、初めて知らされた過去……海外に移り住んだと聞かされていた従姉妹達も、この男達が拉致した……瑠璃子は戦慄し、背筋が凍り付くのを感じた……。
『どいつもこいつも「絶対許さない」「真希が助けに来る」とか言ってなあ……誰も助かりゃしなかったけどな』
腰を動かす事を止めた瑠璃子に、張り手や罵声が飛んでいたが、それらを感じる事は無い……硬直していた困り顔は、崩れた泣き顔へと変わった……。
「……お、お願い助けて……架純と大翔さんだけは……お願いします……」
元々の狙いは自分だけだった。
そして刑事という職業の自分を解放するはずはない。ならば本来は無関係な架純と大翔だけは、日本に帰して欲しいと願った。
ただそれだけ、たったそれだけの願いを泣き声に混ぜて訴えた。