〈悲哀奴隷・銭森瑠璃子〉-2
『……こんな可愛い娘が彼女なんてなあ?羨ましくてムカついてくるぜ』
専務の言葉は架純にも、大翔にも聞こえていた……この檻や枷を見れば、異常な性欲の持ち主なのは分かる……囚われの三人に戦慄が走った。
『もうヤリまくってんだろ?俺達にも楽しませてくれてもイイんじゃねえか?あ?』
「!!!」
恐れている事態が迫った事に三人は震えた……愛し合う二人が分断され、目の前で汚されるなど残酷にも程がある……瑠璃子は部下を跳ね退けようとしたが、後ろ手で極められていては、どうしようもなかった。
『……架純ちゃんはどんなパンティー穿いてんだ?ちょっとワンピを捲ってみようかな?』
「な、何言ってんのよ!?ちょっとやめろよッ!!やめろお!!!」
「嫌だあッ!!なんで私がこんな……やあぁぁぁ!!!」
「おあぁぁぁぁ!!!」
専務はワンピースを捲りあげ、純白なパンティーを曝させた。
それは如何にもデート用といった下着で、大きなフリルが過剰なまでに飾り付けられていた。
部下達はしゃがみ込んでジロジロと眺め、大翔と瑠璃子の怒声を背に受けながら、見られまいと必死に左右に揺れる尻を追い掛けた。
『専務、コイツのパンティー染み着いてますよ?きっとこの男に弄り回されて濡らしたんですよ』
『お嬢様みたいな顔して、ヤルことはヤッてんだな。俺達ならもっと濡らしてやれるぜぇ?』
『パンティーからマン汁搾れるくらいグチャグチャにしてやりますかね?フフフフ……』
心ない台詞が次々と溢れ、逃げ出したくて堪らない架純を責めたてた。
楽しいデートの中で、エレベーターの中や駐車場、夜景を見ながら二人は何度も口づけを交わしていた。
その最中に架純は興奮し、はしたない汁を溢れさせてしまっていたのだ。
すっかり大人と同じ身体となった女性が、大好きな彼氏との口づけに興奮するのはおかしな事ではない。
その極めて私的な秘密を暴き、笑い者にする専務達の方が異常なのだ。
『ずっとオマ〇コの中トロトロにしたまんまなんじゃねえか?指入れて探ってみるかあ?』
「!!!!」
専務の台詞に部下達は笑い、瑠璃子達は狼狽えて顔を引き攣らせた。
麻里子や美津紀を拉致し、好いように強姦した鬼畜達……恋人同士の悲鳴や心の痛みすら快楽として変換出来る畜人だろうという事は、想像するに容易い……架純は金切り声をあげて檻の中で暴れているし、大翔は怒り狂った喚き声を発てて必死に藻掻いている……瑠璃子の中の刑事としての心が、言葉となって吐き出された。
「わ、私が狙いだったんでしょ?私に掛かって来なさいよ卑怯者ッ!!」
瑠璃子は専務を見上げながら叫び、唇を噛んだまま睨みつけた。
この金髪鬼達の当初の獲物は自分だったはず。
その最中に架純の存在を知り、新たな獲物として選んだ。
いずれにしろ、無関係なはずの架純はこの事件に巻き込まれたのだ……瑠璃子の中に、罪悪感にも似た感情が生まれていた。