大好きなお父様U-1
私の首に腕をまわして、きゅっと抱きついているアオイの顔を覗き見ると・・・その愛らしい瞳が私をとらえた。
「アオイ、カイはどうしたんだい?ひとりでここまで来たの?」
「はいっ!アオイはおとうちゃまのおそばにいたいのっ」
小さな腕に力をこめて顔を寄せてくるアオイに目を細めながら、キュリオは幸せそうな笑みを浮かべてアオイの頬に自分の頬をすり寄せた。
「いけない子だねアオイは・・・お前に何かあったらお父様が心配するだろう?」
「あいっ!」
ピンク色に頬を染めて大好きなキュリオを思う存分抱きしめるアオイ。
「元気の良い返事だね。本当にわかっているかどうかはわからないけど・・・」
アオイの柔らかな髪をなでながら、ソファ座り直すキュリオ。
「おぉっ!!この方が噂のキュリオ様の・・・」
「ああ、紹介しよう。私の愛娘の・・・アオイだ」
名前を呼ばれたアオイはキュリオの顔を見上げ、その向かい側に座っている男の顔をじっと見つめている。
「さぁ、アオイご挨拶は?」
「・・・おとうちゃまのおともだち?」
きょとんとした真ん丸の瞳がキュリオを見つめ、可愛らしく首を傾げた。
「友達・・・というよりお客様かな?」
「あいっ!
わたし、おとうちゃまの娘のアオイです!!」
屈託のない笑顔を向けられた男は、顔をほころばせながら恭しく頭を下げた。
「これはこれは・・・アオイ姫様お初にお目にかかります。なんと可愛らしい・・・」
中年の男性の、孫を見つめるような優しい眼差しを受けてアオイは恥ずかしそうに笑顔を向けている。
その時、
コンコン
再び扉をノックする音にキュリオは振り返った。
「入れ」
「キュリオ様、失礼いたします。お茶のおかわりをお持ちいたしました」
一礼して入ってきた城の召使いが丁寧に紅茶を淹れていく。そして、アオイの姿をみて目元を緩めた彼は、あたたかいミルクを彼女に差し出した。まるでここにいることがわかっていたかのような・・・用意周到さだ。
「あいがとう」
彼から小さなカップを受け取ったアオイは嬉しそうに温められたミルクを見つめている。