近藤→遠藤-2
あのあと、熱が下がった近藤君は自分の部屋に帰っていったけど
あたしはなぜか心配で気になって仕方がなかった。
でも・・・
メアドも電話番号も知らないあたしは
もう1度慶応まで出向くことはできなくて
時間だけが過ぎていった。
その日はシュウに夕飯でも一緒に食べようと
一緒に大学を出ようとしたとき
校門で近藤君に話しかけられた。
「片山さん・・・・」
「近藤君?」
「この前はありがとう。お礼をしたいんだけど連絡先がわからなかったから」
そう言った近藤君は初めて会った時より
別人のようにすっきりとした格好になっていて
「今日は・・・都合が悪そうだから出直すよ」
とどうみても精一杯おしゃれしてきた跡が見えて
このお誘いを頑張ってきたのだとわかる。
「髪、いいね」
気がついたらあたしは近藤君の髪に手を伸ばしていて
顔が赤くなった近藤君が目の前にいた。
「凛」
行くぞ。と無言であたしを促すシュウの背中を見ながら
「シュウ、明日でもいいかな」と
口走っていた。