投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ようこそ花咲女子寮へ
【ラブコメ 官能小説】

ようこそ花咲女子寮への最初へ ようこそ花咲女子寮へ 145 ようこそ花咲女子寮へ 147 ようこそ花咲女子寮への最後へ

世界中の誰よりもいちばん-26

「す、すいません失言でした…………」
「あたりまえだっ!」

予想以上に憤慨してる様子の秋子さん。
そんな秋子さんがあまりに恐くて、僕はビクビクと肩を竦めているものの、
反面、ちゃんと僕に嫉妬してくれるのだとわかってどこか嬉しかったりもした。

「ただな…… ただ、この際だから言っておくと…………
 うちの寮生、つまりクランケが相手の場合だけは…… その…… 例外だ……」

僕は黙って秋子さんの言葉を聞くも、数秒後、
まったくもって期待を裏切るその言葉にまたしても慌てた。

「はぁ? いやいやっ 何か色々矛盾してやいませんか?」
「な、何がだ? 私は別に間違った事を言っているつもりは………… 無い……ぞ?」
「どこ向いてるんですかっ ちゃんとこっちを見てくださいっ」
「いや、すまんっ ちょっと頭を整理させてくれ…………
 私もなんだか頭が混乱してきてその…………」

秋子さんはポリポリと頭を掻いたかと思うと、
少しずつ、珍しくまとまりの無い言葉で、僕に語りかけはじめた。

「君の事は…… 好きだ………… 愛してやまないし………… 誰にも渡したくない」
「え、えと…… なんなんですかいきなり……」
「いや、それは本当に間違いないのだが、
 同じくらい、いや、また別の次元で私は寮生達を自分の娘のように慕っているのだ」
「…………それは なんとなくわかります」

基本的に秋子さんは、自らを尋ねてくるクランケにすべて好意的ではあるが、
ことこの花咲女子寮に招いたクランケには、その誰よりも親身に接している。
まるでその想いは親子の愛情さえもを越えるような溺愛っぷりであり、
はじめは僕もどこか、それこそ母親に嫉妬するような複雑な気分を味わったものだ。

「そんな彼女らが悩み苦しむ問題を、
 誰よりも信頼のおける君に託しているのは前に話した通りなのだが、
 もしも、もしも彼女らがいつか、性欲処理の延長で君を求めてきたら……」
「…………出来るなら僕にそれを受け止めてあげて欲しいと言う事ですか?」

なんだかとてもバツが悪そうに僕の言葉に黙って頷く秋子さん。
そりゃそうだろう、どんな言い方をしようと結局それは、
僕に他の女を抱いてくれと言っているようなものなのだから。

「ならどうして性行為は禁止なんて…………」
「それはそうだろう? はじめから性行為を求めても構わないなんて言ったら、
 それこそ治療の意味が無いではないか?」

ああ、美咲さんの言う通りだ。
少なくとも秋子さんは、彼女たちが悩みを克服することを一番に考えている。

「つまりそれでも彼女達が僕との性交渉を求めてきたら…………
 禁忌を犯してまで求めたその時はって事なんですね?」

相変わらず顔を俯けたまま、申し訳なさげに頷く秋子さん。
おそらくいま秋子さんの頭の中では、大きな矛盾に気づきながらも、
言葉に出来ない葛藤が渦巻いてやまない事だろう。


ようこそ花咲女子寮への最初へ ようこそ花咲女子寮へ 145 ようこそ花咲女子寮へ 147 ようこそ花咲女子寮への最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前