不可抗力だもんね-24
なんだか僕は無性に恥ずかしくなってしまった。
自分の価値観を押し付けるだけならまだしも、
完全な誤解から秋子さんの気持ちまでどこか疑ってしまった気がしたからだ。
「でも………… だからってクランケはOKっていうのもなんだかなぁ…………」
「あはは、そりゃ手放しで許せるほど簡単な事じゃないでしょうよ」
「そ、そうでしょうか?」
「知らないの? ああみえて先輩はかなり君にメロメロだよ?」
「そ、それは………… でも…………」
「まったく………… 君は『でも』や『だって』が多いなぁ…………
先輩とてひとりの女なんだからさ、
愛する君が他の女に触れる───それだけでも充分嫉妬してるはずよ?」
「嫉妬? 秋子さんがですか?」
「…………気づいてないの? いやはや君の鈍感さと来たら…………
いや、これはこれでまだ私にもつけいる隙があるって事かな? にひひ……」
何やら悪い顔をしてる美咲さん。
そんな事よりあの秋子さんが僕に嫉妬なんてホントにしてるのだろうか?
「ま、とにかくさ…… その………… 今回の件は先輩には………… ね?」
「いえ、それとこれとは別話です!」
「はぅっ…………」
「たかが夕食一回分で僕を賭けの対象にするなんて…………」
「か、和也ぁ………… 別に先輩も夕食目的で賭けにしたわけじゃ…………」
「そんなのどうだっていいんですっ!」
「ひぃっ…………」
とりつく島もない僕の様子を見て、怯えたように布団に潜る美咲さん。
時計は午後五時を過ぎた頃───僕は部屋に戻りベッドで身体を休めながらも、
秋子さんにいったいどんなお仕置きをしてやろうかとしばらく考えていた。