不可抗力だもんね-11
「それで和也は………… 今日一日何をしてたの?」
「今日ですか? 今日はそれこそずっと風音ちゃんの看病をしてました」
暗闇の中、ベッドの上で美咲さんとふたり、
なんともなしに互いの身体に触れあいながら、
僕らは今日あった出来事を語りあっていた。
「そか、ついに風音ちゃんは君に悩みを打ち明けたんだね」
「ついにって………… やっぱり美咲さんも知っていたんですか?」
「いや、詳しくは知らないけどさ…… 同じ女だもん、見てれば色々わかるわよ」
そう言って僕の手を取ったかと思うと、
まるでここを触りなさいと言わんばかりに、その手を自らの胸元へと当てがった。
「それで君は………… んっ…… 風音ちゃんに色々…… 教えてあげたわけ?」
「色々っていうか………… まぁ一通りの事は…………」
甘い吐息を吐きながら、そう僕に問いかけるも、
いつのまにかその右手は僕の陰茎を握りしめ、
ゆっくりとあやすように撫でまわしている美咲さん。
「ずるいなぁ…… 私も和也に色々教わりたいのにぃ…………」
「教わるって………… 僕なんかが美咲さんに何を教えられるっていうんですかっ」
年齢はもとより、異性との経験人数からして天と地の差がある僕と美咲さん。
こんな僕が美咲さんの性欲処理の手助けをしてるだけで不思議な事なのに、
その美咲さんに僕なんかが教えられる事なんて…………
「ともあれ、これからが大変だわね…………」
「え? こ、これからですか?」
「そうよ? 曲がりなりにも君は風音ちゃんに性的快感を教えこんじゃったんだから」
「お、教え込んだなんて…………」
「いやいや、処女や童貞が初めての相手を深く思い込んでしまうように、
風音ちゃんは君によって初めての性的快感を与えられたのよ?
今後、何事もなかったように君と接する事が出来るかしら?」
確かに少なからず思い当たる節がある。
いや、別に僕は秋子さんに童貞を捧げたから好きなわけじゃないけど…………
「で、でもっ あくまで僕は性的欲求の解放手段を教えただけで…………」
「教えたって言っても、それは言葉ではなくその手を使って………… でしょ?」
「そ、それはそうですけど…………」
「君の手はね………… ちょっと普通とは違うのよ…………
女にとって毒にも薬にもなる、いわば魔法のような手なのよ♪」
なんかどこかで聞いたような言葉だな。
いや、そもそも僕のこの手がなんだっていうんだ?
ただ精一杯、相手を気持ち良くしてあげようとしてるだけなのに…………
「か、買いかぶりですよ…………」
「あら? そんなつもりは無いわ………… 知っての通り私は経験重視よ?」
「そ、それは知ってますけど…………」
「出来るならこの手をちょんぎって、いつでも使えるように…………」
「ちょっ!!! 顔が恐いですって美咲さん!!!」