不可抗力だもんね-10
「それにしても凄い量ね? 溜まっていたのかしら?」
「い、いえ…… そういうわけでは…………」
恥ずかしくて少し照れ笑いする僕を見ながら、
さも当たり前のように、美咲さんが僕の股間へと唇を這わせる。
「あっ…… ちょ…………」
「あは、ちゃんと綺麗にしてあげるからね?」
萎えてふにゃふにゃになった僕の陰茎に美咲さんの熱い舌が絡みつく。
摘むように二本の指で支えながら、頬をすぼめ最後の一滴まで吸い出すその様は、
あまりに慣れた仕草に見えて、なんだかわからないけど少しだけ妬けてしまった。
「えへへ、初めて精液飲んじゃったわ」
「…………は?」
「思ってた以上に苦いんだね? もうちょっと甘みがあっても…………」
「ちょ…… いまなんて???」
僕は思わず体を起こし上げ、
不思議なものを見るような目で美咲さんを見つめた。
「何って? 初めて精液飲んだって…………」
「は、初めてって??? 美咲さんともあろう人が?」
「むぅっ!? 何よ? 私だって何でも知ってるわけじゃないんだからね?」
「い、いえ…… でも今まで何人もの男性と、その…………」
「ああ、そりゃSEXはいっぱいしたわよ? 気持ち良いの好きだもん!」
「な、なのに…… その…………」
僕はどうにも言葉に詰まって二の句が継げない。
「うん? ああ、そういう事? まったく君はまだまだ女心がわかってないなぁ……」
「お、女心って…………」
「いくらSEXが好きだって言っても、何でもかんでも受け入れるわけじゃないわよ?」
「は、はぁ…………」
「フェラチオだって相手を気持ち良くさせる手段としてはありだけど…………
好きでもないヤツの精子なんて気持ち悪くて絶対に飲めやしないわ」
美咲さんは僕の身体をギュッと抱きしめると、
擦れるような小声でそっとこう呟いた。
「大好きだよダーリン♪ …………先輩には内緒だからね?」
僕はその言葉に思わず赤面しながら、コクコクと黙って首だけを振っていた。
どこから演技なのか、どこまでが真実なのか、
知りたくもあり知りたくもなし…………
僕はしばらく黙ったまま、美咲さんの腕の中でそのぬくもりを噛みしめていた。