私にも気持ちいいこと教えて下さい-11
「風音ちゃん? もう少しでいいから………… 口を開けて?」
はぁはぁと風音の熱い息が僕の指に吹き掛かる。
纏わり付く膵液など気にも止めず
とにかく口にクスリを入れようと、
僕はゆっくりと優しく、指でその口をこじ開けていった。
「んっ…… あんっ…………」
今まで聞いた事のない風音の艶めかしい声。
吐息交じりのその声は、さながら言葉にならないあの時の声に酷似しており、
不謹慎にも僕は、思わずその姿に興奮してしまっていた。
(こ、こんな時にまた………… 何を考えてるんだよ僕は…………)
大きく頭を振り、僕は必死で理性を取り戻すと、
もう一方の指にクスリを乗せ、そっと口の中へとそれを入れていった。
「風音ちゃん? そのままこれを飲み込んで?」
僕の言葉が聞こえたのか、無意識のまま風音は舌をだし、
ひとつ、またひとつとクスリを飲み込んでいった。
「そう、あとひとつ………… これでおしまいだからね?」
なんとか最後の一粒を口にいれる事が出来た僕は、
風音の口から指を抜こうとするも、
何を思ったのか風音は突然、口をすぼめて僕の指を吸い始めた。
「か、風音ちゃんっ それ僕の指っ………… え? ちょっ…………」
ちゅうちゅうとまるで子供のように僕の指に吸い付く風音。
その仕草を見た僕は、不覚にも昨晩の秋子さんの姿を思い出してしまい、
思わずゴクリと唾を飲んではしばらくその姿に見入ってしまった。
(な、なんか…… すごくエッチな姿に見えるな…………)
はだけた布団から見え隠れする大きな胸の谷間。
目を閉じ僕の指に吸い付く膵液まみれの唇。
さすがにこんな姿を目の当たりにして、
何の反応も示さないわけもなく、
明らかなまでに股間の膨らみを感じた僕は、
風音から慌てて指を抜き取っては、避けるように少し距離を取った。
(だ、駄目駄目っ こんな時にホント僕は何を考えてるんだっ!)
服も着替えさせたしクスリも飲ませたし、しばらく安静にしておけば熱もさがるだろう。
そう思った僕はとりあえず一安心と、腰を上げ立ち上がろうとするも……
(ん? あれ? 何かがひっかかって…………)
気がつくと風音が僕の服を指でギュッと握りしめていた。
ひとりになるのが嫌なのか、はたまた誰かと勘違いしているのか、
目を閉じたまま、明らかに眠りについているはずなのに、
風音の指はきつく握られ簡単には離れそうにない。
(やれやれ…… ちょっと意外な一面を見ちゃったな…………)
僕は顔をほころばせながら、もう一度その場に座り込むと、
風音の手を握り返したまま、しばらくそこでじっとする事にした。