私にも気持ちいいこと教えて下さい-10
「み、見て無いからね?」
誰に言い訳をしているのか、そう呟きながら僕は風音の背中に手をまわすと、
ゆっくりと手探りでブラのホックを外しはじめた。
(えと………… あれ? おかしいな?)
別に女性のブラジャーを外すのはこれがはじめてじゃないけれど、
動揺しているのか、なかなか上手くホックが外れない。
いや、外れないと言うかホックそのものが見つけられないのだ。
(うっ…… も、もしかしてこれは…………)
顔を背け、ゆっくりと指先を前に移動させる僕。
その指が胸元の中心へと辿り着いた時、
ようやく僕はこのブラがフロントホックであることに気づいた。
(ううっ…… こんなの手探りで外せるのかな…………)
おぼつかない手つきで胸元のホックに手をかける僕。
力を入れるたび、手に柔らかな感触が伝わってきては動揺してしまう。
(確かこれをずらして上に………… やった、外れたっ!!!)
その瞬間、左右にブラが分かれるや、
今まで抑えつけられてた膨らみが揺れるように弾むのがわかる。
風音はふぅーっと大きく一息、随分と楽になった様子で、
そのまま煩わしそうに自らの腕を抜いては、
ブラをベッドの外へと投げ捨ててしまった。
(こ、これでホントに良かったのかな…………)
僕は軽く咳払いをしながら、床に落ちたブラを手に取ると、
どう畳んでよいかもわからずに、
とにかく目に触れない場所へと部屋の隅にそれを追いやった。
(やれやれ…… 後はクスリを飲ませてあげたいんだけど…………)
胸の苦しみはマシになったと言えど、まだまだ熱にうなされてきつそうな様子の風音。
何度か呼びかけクスリを飲んでもらおうとするが、
余程つらいのか体を起こそうとはしてくれなかった。
(でも………… 無理にでも飲まさなきゃだよな…………)
そう思い僕は指先でそっと風音の唇へと触れると、
少し、また少しと指を動かしながら徐々にその口を開かせていった。