想い-12
亜希は[ソレ]から既に手を離している。
しかし手首は男に掴まれたままだった。
「亜希ちゃん非道いんじゃない?」
男が亜希に言う。
「だって…、あんなの触らせるから…、です…。」
亜希も返す。
「あきちゃんさあ、お菓子とか貰ったらくれた人にお礼言うよね?」
「はい?」
「何か美味しいもの貰ったらお礼言うよね?」
「はい。」
「でしょ?じゃあ何か手が塞がってるときに、誰か手伝ってくれたら、その人にお礼言うよね?」
「…はい……。」
「今日オレ亜希ちゃんのこと気持ちよくしてあげてるよね?気持ちいいこと教えてるよね?」
「はい。……え?やっ!違う!だってそれ!ワタシ別にしたくてしたわけじゃ無いです!」
「でも結局は気持ちよくなったんでしょ!?気持ちよくなったんだよねっ!?」
首を激しく横に振る亜希。
それを見て、男は呆れた口調で話し続ける。
「はぁ〜、なんなんだろうね、この子は。人に迷惑かけたんだよ?じゃあ普通謝るでしょ?そして弁償するでしょ?弁償出来るの?」