第二部 超能力者-1
2012年4月6日金曜日午後3時10分、狭い一本のひと気の無い路地で神奈と真十は金属バットを持った宮内と大室に囲まれ、窮地に陥っていた。
そんな時神奈が真十に言う。
「あたしが今から二人を足止めする。その隙に全力で走って警察呼んで来て。」
「そ、そんな事…出来る訳ねえだろ。女の子一人に任せられる訳…。」
「じゃああんたは何か出来んの?」
「そ、そう言うお前は何か出来んのかよ?」
「…出来る…。」
その時、大室は二人に接近して言う。
「おいっ、おめえ等何さっきから小せえ声でゴチャゴチャ話してんだコラ?」
神奈は強気に答える。
「作戦会議…。お前等をどうやってぶっ倒すかのね!」
大室は怒る。
「あ?何舐めた事言ってんだ、あ?
お前等見たいな餓鬼共が俺等倒せる訳ねえだろバーか!」
宮内はそれを見ながら冷静に思う。
(どっちが馬鹿だよ…。そんな大声張り上げたらせっかく人いないとこ狙ったのに他にばれちまう…。)
神奈は全くビビらずに強気に言う。
「は?あたし一人で充分だけどー!」
真十は彼女の強気な態度に驚く。
大室は激怒している状態で言う。
「よーしじゃあぶっ殺してやるよ、この糞アマ!」
「金属バット無いと、女子高生にさえ勝てないんだ?」
宮内は微笑して思う。
(バーカ何お前が相手のペースに乗せられてんだよ。
それにしてもこの女気が強いな…。こう言うのに慣れてんのか…?
それより大室の奴そろそろ我慢の限界だな。)
大室は怒鳴る。
「オイ、コラこの糞餓鬼犯すぞ‼」
神奈も強気に言う。
「黙れ、デカブツ‼」
大室は完全に切れて、金属バットを振り上げる。
真十は恐怖して動けなくなる。
神奈は怯えずに彼を睨み付けている。
そして大室は神奈の頭を目掛けて、金属バットを振るい下ろす。
「オラァ!」
しかし次の瞬間、「バキッ」と言う音がする。
神奈は金属バットに当たっていなかった。
彼女の顔の直ぐ前には大室の握っている先端の折れた金属バットがあった。
そして「カランカランっ」と金属バットの先端が地面に落ちる音がする。
神奈は全くの無傷で微笑していた。
大室は驚いていた。
「な、何しやがっ…。」
神奈はその隙を突いて、彼の脇腹に蹴りを入れる。
大室はそれを受ける。
「うへぇ。」
神奈はそのまま大室の後ろに回り込み、後ろから頭を腕で掴み、足を引っ掛け、地面に投げ倒す。
大室は頭を地面に酷く打つ。
宮内は笑い出し、神奈に問う。
「はっはっはっはっはっはっはっはっはっは…。
お前、柔道でもしてたのか?」
神奈は答える。
「そうだけど…。」
「あっそ…。」
宮内は折れた金属バットを指差して言う。
「じゃあ何でそいつのバット…折れたんだ…?それもお前がやったの?」
「さぁどうだろう…。」
真十は神奈を見て関心していた。
神奈は真十に言う。
「ってかあんた、早く警察読んで来て!」
「お、おう…。」
しかしゆっくりと大室が立ち上がる。
神奈は一言言葉を吐く。
「しぶとい奴…。」
大室は額から血をタラタラと流しながら言う。
「あんな…程度で…遣られる訳ねえだろー‼」
大室は激怒して、怒鳴る。
そして持っていた折れた金属バットを地面に叩き捨てる。
神奈に殴り掛かる。
「オラァ!」
神奈は簡単に彼の拳を躱し、足で彼の顔を蹴る。
真十は内心で思う。
(これ、勝てんじゃねえの…?)