相変わらず君は罪な男だな-5
「うん、どうしたんの? いまさら何をそんなに恥ずかしがっているのよ?
私のオナニーしてる姿なんて、それこそもう何度も間近で見ているじゃない?」
「そ、それとこれとは話が…………」
「何事にもきっかけは大切なのよ?
男性恐怖症の雪菜さんしかり、従属依存の雫ちゃんしかり、
その経緯を知っているからこそ君は的確に性処理をサポートしてられるのでしょ?」
「そ、それは………… 確かにその通りなんですが…………」
美咲さんの言う通り、カウンセリングをするためには、
何よりその原因となるきっかけが重要な要素となる。
そのきっかけに応じた適切な治療をするのはもちろんのこと、
たとえ荒治療や逆療法と呼ばれる強引な治療法でさえ、
そのきっかけを知らなければ行う事すら出来ないのだ。
「かと言って今は私のカウンセリングでは無いからどうでもいい話だけどね……」
「…………やっぱり わかってて意地悪してるじゃないですか」
そう言って僕がすこしふて腐れると、美咲さんはゆっくりとその体を起こしあげ、
まるで子供の機嫌をうかがうように、僕の背中へとそっと抱きついてきた。
「まあ、そう焦らないで? 今の話で何か気づいた事はない?」
「気づいた事………… ですか?」
「君と私、あくまで男女の最小単位ではあるけれど…………
性への目覚めの時期には随分と差があったでしょ?」
「た、確かに………… 僕は中二で美咲さんは小四となると…………
少なくとも三年は時期がずれていますよね?」
「これは別に特殊なケースではないのよ?
統計的にも男女の性の目覚めには同じくらいの差が生じているの」
「はぁ…………」
「体の構造上あたりまえと言えばあたりまえなのだけどね…………
つまるところ男よりも女の方が、
性に対しての知識や欲望を早くから持ち悩んでいるというわけなのよ」
確かに冷静に考えると、一般的な女性の初潮は12歳前後だと聞く。
早い子だと10歳くらいに迎えるとさえ言われているが、
その瞬間からいきなり体が大人になるのだから、
必然的に精神もまたその時期に大きく左右されると考えて不思議は無い。
対して男には精通と呼ばれる現象が存在するものの、
女性のように大きな身体的変化が起こるわけではないため、
意外と気づかず過ぎ去っていたり、
むしろ興味本位ではじめたオナニーによって初めてそれを経験する輩も少なく無いのだ。