陰と陽 -2
新たな肉便器、海老川絵里を狙うのにも理由がある。いかにして絵里に近づき肉便器として利用するか考えていた武史にとっては、絵里がしょっちゅう家に訪れて来るのはラッキーな事だった。優里と双子…絵里の服の中の肉体は想像できる。しかし体が違えばまた新鮮さも感じるものだ。武史は絵里を肉便器としか見ていなかった。
何回も訪問してくるうちに、次第に服装に緊張感がなくなってきた。胸元から谷間が見える服装や、脚も露出が多くなってきた。その度に武史の性欲は高まって行く。そんな武史の視線に敏感に気づいたのは優里だった。絵里を見る視線が欲望丸出しの武史に気づく。絵里に被害が及ばぬよう、優里は武史が席を外した時に言った。
「絵里、あんまり刺激的な服着て来ないで?」
「え〜?何で〜?別に普通じゃん?」
「胸元開けすぎよ。それにスカートも短いし。」
「あ〜!優里、湯島君が私に気が向くのが嫌なんでしょ〜?」
「そ、そんなんじゃないわよ!」
「じゃあいいじゃん。だったら優里もエッチな服着ればいいじゃん。」
「き、着ないわよ…!」
「て言うか、こんなのエッチな服のうちに入らないし。街に出たらこれなんかよりもっとエッチなの着てる子いっぱいいるでしょ?」
「そ、そうかもしれないけど…」
そこで武史が帰って来た。会話を止める2人。変な間が生まれる。
「ん?何??」
武史が聞くと絵里が口を開く。
「湯島君、優里のどこが好きなの?」
「ん?そうだなぁ…、全部好きだなぁ。」
「全部?じゃあ双子でそっくりな私も好きになる可能性あるって事かな!」
慌てる優里。
「な、何言ってるの!?」
武史は詐欺師の笑顔でニコッと笑いながら言う。
「それはないね。」
「どうしてよ?」
「俺と優里は理由はどうあれ小さい頃、たくさん触れ合った。そういう思い出の一つ一つが今の愛情を作ってるんだ。絵里ちゃんには感じない事だ。何一つ変わらぬ2人だとしても俺は優里にしか愛情を感じないよ。」
「…、そうなんだ…。」
急に真面目な顔で答えた絵里。心にもやもやとしたものを感じたのは武史の思惑通りの事だ。
双子…お互いそれ以上でもそれ以外でもいけない存在。昔からお互いに負けないよう、何事にも頑張ってきた。常に肩を並べる存在である事がお互いへの優しさだ。比較されてどちらかに優劣つかぬよう生きてきた。それが無言の掟と言うか、双子という特別な存在が気持ち良く生きていく方法だと感じていたからだ。しかし今、明らかに絵里は優里に対して劣等感を感じている。優里に追いつかなければ…、無意識に絵里はそう感じた。武史は常に優劣つかぬ状況でいなければいけないという2人を利用して絵里に劣等感を与えてみたのであった。
(さぁ、乗ってくるかな?新たな便器ちゃん。ヘヘヘ)
武史はニヤリと笑った。