クリスマスイブ-2
「貴明、そろそろ彼女できたか?」
「あっはっはっ、彼女なんていらん!俺は一生風俗で性欲を満たす!」
バイトで得たカネは全て風俗につぎ込んでいるらしい。哀れな奴だ。
「総一は?」
「いるよ」
「へぇ……え?」
ちょっと意外だった。一番モテなさそうなのに!
「ほっほーう?どんな娘だ?相手は女子大生か?」
「違うよ。二年生の伊藤加奈って娘。たしか翔太と同じクラスじゃなかったかな」
「うーん……」
「クラスメートでしょ?僕の彼女なんだから、ちゃんと憶えてよね」
「あ、ああ」
伊藤加奈なんていたっけな?部活や役員が忙しくて、クラスメートの名前なんて半分ぐらいしか憶えてないんだよなぁ。
「はっはっはっ、翔太は昔から記憶力悪いからな!」
「そ、そんなことはないつもりだぞ」
「つもりなだけだろーがっはっはっ!」
そんなこんなで騒いでいると、苛立ち気味の姉ちゃんが部屋の扉を開けた。
「ノックぐらいしろよ」
「うっさい。あんたに荷物届いてるわよ」
「荷物?」
「玄関にあるから、自分で取ってきて。あー頭痛い……」
もしかして頭痛くて苛々してたのか?
いや姉ちゃんのことはどうでもよくて。
「なんだろ。取ってくる」
玄関に行くと発泡スチロールが置いてあった。
品名は『生物』――ナマモノ?
送り主は――銀河杏仁。
「っ!?」
杏ちゃんはあの日から行方不明になっていた。どうして今になって……。
杏ちゃんに刺された胸がうずく。この傷は自業自得だと思っているので、杏ちゃんのことを恨んでいるとかそういうのはない。
けど、杏ちゃんは楓を殺した。
この発泡スチロールの中には何が入っている?
人間の手首とか入っていたとしても、杏ちゃんなら不思議じゃない。
ドクン
恐る恐る、発泡スチロールの蓋を開けてみる。
「あ、あっ、わぁぁぁぁぁ!?」
そこに入っていたのは、
先輩の生首だった。