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三叉路 〜three roads〜
【学園物 恋愛小説】

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-8

「いや、お前の存在は大きかったよ」


聞き慣れた声に後ろを振り返ると、徐々にまばらになってきた人だかりの中に、大山くんが立っていた。


おそらく今までの話を聞いていたのだろう、その顔はニヤニヤ笑っていた。


同時に、沙織がホッとした声で、


「倫平……!」


と彼の名を呼び、彼の元へ駆け寄って行った。


彼は、ポンポンと軽く沙織の頭を叩きながら、“大丈夫だよ”と言わんばかりの優しい笑顔を彼女に向けて小さく頷く。


大山くんの登場に、土橋くんもいくらか安心したらしく、私の肩に置かれたままの手をスッと下ろした。


だけど、大山くんはニヤリと土橋くんに笑いかけたかと思うと、


「コイツはずっと何にも言わなかったけど、結構焦ってたしな」


と、また刺激するようなことを言って、彼の肩をペシペシ叩いた。


「倫平……」


土橋くんはギロッと大山くんを睨むけど、全く動じていない。


さらに大山くんは歩仁内くんに向かって、


「お前と石澤さんが楽しそうに話してるのみると、わざとこっちもバカ笑いなんかして盛り上げては、石澤さんの気を引こうとしてんだ」


と、意地悪そうに笑いかけた。


「へぇ、そうなんだ」


歩仁内くんもニヤニヤしながら土橋くんを見る。


「あとは、しょっちゅうオレにわざとらしく沙織の話を振って、さりげなく石澤さんの様子を探ろうとしてたもんな。ホントわかりやすい奴なんだよな、修は。だからオレは何度修の気持ちを石澤さんに言ってやろうと思ったことか」


その言葉を聞いて、補習の初日、沙織と大山くんと三人でラーメン屋に行ったときのことを思い出した。


歩仁内くんの話をしていた時、大山くんが何か言いたそうにしていた様子が蘇る。


土橋くんの顔はみるみるうちに赤くなっていった。


私も同時に顔が熱くなってくる。


さっきまで不安そうな顔をしていた沙織は、いつの間にか冷やかすような笑みで私達の顔を交互に見ている。


みんなが私達をからかうような意地悪な笑顔で見つめていて、それが恥ずかしくてたまらなかった。





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