生徒会合宿(前編)-3
どうするって、そんなの決まってる。テント係りが会長、前田と男ばかりなんだから、先輩もいるし杏ちゃんか橘のどちらかが必ずついてきて両手の花状態になれる買い物係りしかないだろ。
「荷物持ちが必要だろうし、俺は買い物係りでいいよ」
「そうですか。先輩がそっちなら――」
「我も買い物とやらに付き合ってやろう」
「え」
「うむ、決まりだな。俺、前田、銀河妹がテント係り。銀河、大神、橘が買い物係り」
俺は前田に、先輩は会長に荷物を預ける。
「お金を渡しておこう。これは部費だから、遠慮せず使ってくれ」
一万円札を受け取る先輩。
いやいやいや、部費っておかしいでしょ。部活じゃなくて生徒会ですから!
「くく、死ぬ前に食っとけ杏仁豆腐よ。我の神聖なる所有物を、特別に貴様に預けてやろう」
「勝手に話を進めないでください!私も買い物係りがいいです!」
橘が渡そうとしていたふたつのキャリーバッグには手も触れず、杏ちゃんがそう抗議した。
「銀河妹。わがままはよくないぞ」
「わがままなんかじゃないです!だって私、お姉ちゃんの妹なんですよ!?」
「そんなことはここにいる全員が知っている」
たしかに。
「見苦しいぞ杏仁豆腐よ」
「黙ってください!お姉ちゃんの隣は私だって決まってるんです!」
「愚かな……それは本心ではないだろう」
「そ、そんなことありません!」
「くく、我はウルフのことを好いておる。だからこちら側にしたのだ」
……なんだって?なんか今、とんでもないことを耳にしたような気がするぞ?
「諦めるのだな、杏仁豆腐。貴様は一番序列が低い」
その言葉を聞き、杏ちゃんはニヤリと意地悪そうな笑みを浮かべた。序列ってなんだ。
「序列ってつまり、先輩からの好感度?それとも距離感ですか?まぁどっちにしろ、楓ちゃんが最下位なのは確定していますけどね」
杏ちゃんはない胸をえっへんと張る。
「ほう。何か根拠でもあるというのか?」
「もちろんです。まず好感度ですが、これはお姉ちゃんが一位」
おいおいおい何を口走ってんだよ。
「余計なこと言うな」
「んんー!」
手で杏ちゃんの口を塞ぐ。
「仕方ない。こうなったら男女で別れるとしよう」
収拾がつかないと思ったのか、会長がそう提案した。