生徒会合宿(前編)-2
常識的に考えてダメだろ。何言ってんだこいつは。
「ダメに決まってんだろ」
いいぞ前田もっと言え!
「そぉすかぁ、別にいいじゃないっすかぁ」
「これだからリアルはクソなのだ」
珍しく橘が近衛を睨みつけていた。
「あぁ?なんか文句あんのか電波野郎!?」
「くく、愚かなり。我は電波でもなければ野郎でもない!ググれカス!」
あーあ。喧嘩しちまったよ。
「ちっ!ったく、電波がうぜぇんで抜けますわぁ」
「電波とかちょーウケるー」
「ふはは!またもや不敗伝説が更新されてしまったわ!」
帰ってしまう近衛とその彼女を止める者は、誰一人としていなかった。
そして二十分遅れで、ようやく会長である三条先輩が姿を現した。
「待たせたな」
「遅すぎ。三条会長、何してたんです?」
先輩が会長に訊ねる。何やら嫌な予感がするのだが。
「実は時間潰しにと本屋でエロ本を立ち読みしていたんだが、つい読み耽ってしまってな」
やっぱりそんな理由かよ!
「近衛はまだ来ていないのか。遅れてくるとは、なんてやつだ」
「会長、人のこと言えないですからね」
「それより三条先輩、近衛くんなら帰っちゃいましたよ」
「そうか。まぁ用事でもあったんだろう。では行くとするか」
え、近衛の話それだけ?
***
電車に揺られること一時間――。
「「うーみー!!!」」
前田と橘は、電車から降りて早々そう叫んだ。
「どこが海だ」
俺は思わずつっこんでしまう。
海はここからバスで十分ほど行ったところにある、らしい。
「我の空腹を満たさなければ、世界が大変なことになるぞ……く、く」
橘はお腹が減ったみたいだな。かくいう俺もいい感じに減ってきた。
「では、みんなの荷物を海まで持っていき、テントを張る係りを三人。荷物を渡し、このまま食材を買いに行く係りを三人。俺はテント係りで、料理部で食材選びが上手そうな銀河は買い物係り。他はどうする?」
「俺はテントでいいや」
前田はテント係りを受けた。
俺はもちろん先輩と同じ買い物係り、といきたいところだが最近気まずいからどうしたものか。
「先輩はどうするんです?」
「くく、ウルフよ。早急に決めるがいい」