鉄格子の向こう側 *性描写-8
それから、何度もエリアスを抱いた。
ツァイロンはミスカが大人しくしている限りは、かなりの自由をくれた。
普段はツァイロンや他の主の助手として研究を手伝ったり、魔眼の能力を試すさまざまな実験にかけられる。
『進化』と呼ぶ、身体に新たな魔力を取り込む手術を受ける事もあった。
使用人の自由時間と、実用タイプの自由時間は違うから、ミスカが閨を訪れると、エリアスはいつもちゃんといた。
抱きたいと言えば拒否されることもなかったが、かと言って歓迎もされなかった。
「わたくしの仕事ですから」
そっけなく言い、ミスカの好きなようにさせてくれる。
相変わらず最初は感じにくいが、一度蕩け出すと途端に快楽に崩れ始める。
ただ、やはりそれを楽しむ気はないらしく、いつも辛そうで、少しでも快楽を感じまいと抵抗する。
ツァイロンに打ち明け『出来損ない』のレッテルを剥がそうともしなかった。
「ふぁ……ぁ……」
蒸気した頬を涙で濡らし、すがりつくエリアスを抱き締める。
『好きだ』と、ミスカは言わなくなった。
言うたびに、エリアスはひどく脅えた泣きそうな顔をするから。
それでも快楽に泣き濡れたこの顔を、ミスカだけが知っている。
自分だけの特別が手に入るなら、それが泣き顔だっていい。
たまらなく可愛くて、どんなに手間をかけたってかまわないと思う。
なのに……ミスカの魔眼は、刻みこまれた、あの蕩けるような笑みを、忘れさせてくれない。
「欲しがれよ……貪欲に欲しがれ……」
うわ言みたいに、繰り返し囁く。
もっと素直に欲しがるようになれば、いつか笑ってくれるかもしれない。
そんな期待をこめて……。