鉄格子の向こう側 *性描写-7
ミスカも服を脱いで、抱き締めて耳朶を甘噛みする。
体温の上がった素肌が密着し、気持ちよさに眩暈がした。
エリアスの細い腰が悩ましげにゆらめき、太腿をわずかにこすり合わせているのに気付いた。
まだ触れていなかった肝心なところに、指を忍び込ませた。
閉じようとする脚を割り開き、しっかり蜜を溢れさせている場所をなぞる。
「んあぁっ!」
濡れ音を立てながら緩くかき回すと、背を反らせ高い悲鳴をあげた。
「ミスカ……みすかぁ……やだ……」
泣き濡れた声で、エリアスがしがみついてくる。
拒絶の言葉を吐きながら、震える両腕ですがりつき、潤んだ瞳には確かな飢えが垣間見える。
「あ、あ……こわい……許して……」
「痛くないだろ?」
「し、しらない……こんな…………」
ぷっくり膨らんだ肉芽に、とろとろに溢れた蜜をまぶしながら、快楽を知らなかった性玩具を追い詰めていく。
四肢をビクビク引きつらせ、何度も怖いと訴える背を、片手で抱き締めた。
もう片手で敏感な場所を責めながら、唇を重ね舌を吸い上げる。
やがてエリアスがくぐもった悲鳴をあげ、激しく身体を痙攣させた。弄っていた箇所から手を離すと、とろりと濃い愛液が糸を引く。
「ツァイロンさまに教えてやれよ。お前、ちゃんと感じるじゃねーか」
絶頂の余韻に震えているエリアスの髪を撫で、頬に軽く口づけた。
可愛くてたまらない姿だし、これで出来損ないだなんて、もう言われなくても済むだろう。
しかしそれを聞いたとたん、エリアスが大きく身を震わせた。
「い、いいえ!」
ガクガク震える腕で身を起し、驚くほど激しい調子で首を振る。
「こんな手間をかける性玩具など…………っ」
謙遜というより、まるで恐怖を感じているような必死さだった。
「誰にも言わないでください……」
すがるように見上げられ、ミスカは唖然としたまま、何も答えられなかった。
確かに、少し手間はかかると思うが、性感にむせび泣くエリアスは、それを補って余りあるほど壮絶な色香を放っていたし、ツァイロンはきっと興味を引かれるだろう。
けれど、それを言う気になれなかった。
あの艶めいた泣き顔を、自分だけのものにする誘惑に勝てなかった。
……エリアスが黙っていたいなら、それでいいじゃないか。
「わかった」
それだけ言い、再び押し倒す。
しなやかな脚を抱え上げ、十分蕩けている箇所へ、痛いほど張り詰めている自身を押し入れた。
「――――っ!!」
熱くて絡み付いてくる中は、気持ちよかった。
けれどそれ以上に、エリアスが必死に抱きついてくるのが嬉しかった。ミスカの肩口に顔を埋め、止らない喘ぎ声を懸命に押し殺そうとしている。
「っ……っ……」
「なぁ……なんで我慢するんだ?」
何も考えないで、ひたすらエリアスを貪りつくしたかったけれど、聞かずにいられなかった。
エリアスは聞えていないのか、ひたすら目を閉じ首を振るだけで、返答はなかった。
不思議でたまらない。
ツァイロンに褒められて、あんなに嬉しそうだったくせに。
――欲しいくせに、快楽を得るのも認められる事も、なんで怖がるんだ?
「もっと、素直に欲しがれよ……」
しがみつく耳元に、欲情に上擦った声で囁く。
抱き締めるエリアスの身体が、ビクンとまた震えた。ぎこちなく腰をゆらめかされ、ミスカも我慢できなくなっていく。
快楽を覚えたエリアスの身体は貪欲で、一度達するたびにどんどん感度を増していった。
何度も注ぎ込んで、喉が枯れるまで喘がせた。
けれど、あの蕩けるような笑みは、かけらも浮かばなかった。