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魔眼王子と飛竜の姫騎士
【ファンタジー 官能小説】

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鉄格子の向こう側 *性描写-14


 ***

(――そう思ってたのになぁ……)

 宿の寝台で、素裸のエリアスを抱き締め、苺よりももっと美味い唇を貪る。
 海底城から逃げるため、傭兵として各地を点々と旅する生活にも、ようやく慣れてきた。
 実際の地上は、埋め込まれた知識の何倍も素晴らしかった。
 もちろん良い事ばかりでなく、面倒で不便な部分も多数あったが、そんなのは苦労のうちにはいらない。
 何より、エリアスが一緒にいる。

「ふぁ……ぁ……」

 頬を蒸気させ、エリアスが繋がった身体をこすり付けてくる。
 柔らかで大きな胸がミスカの胸元に押し付けられ、形を変える。

 普段、エリアスは男の姿で生活している。女体に戻るのは、ミスカと二人きりの時だけだ。
 傭兵として過ごすに、女だと何かとなめられたり値切られたりするから……というのは、表向き。
 海底城では出来損ないと言われていたエリアスだが、地上では非常にもてる。
 何しろ性感がにぶいなど、初対面の相手は知る由もないし、その他の点なら、容姿もスタイルも性玩具として『最高傑作』だったのだから。

 誘いかけられたくらいで、エリアスがなびくわけもないのだが、ミスカとしてはどうもモヤモヤしてしまう。
 それに気付かれたらしく、エリアスは男の姿でいるようになった。

『動くには男体のほうが便利ですし。別に……この姿は、ミスカだけが存じていれば、十分でしょう?』

 少し顔を赤くして、そう言われた時は、あんまり嬉しくてその場で押し倒した。
 そんな事を色々思い出すと、顔がニヤけるのをとめられない。

「っ、変な顔して……どうしました?」

 動きをとめたミスカが、自分を見つめているのに気付き、エリアスがいぶかしげに尋ねる。

「んー、やっぱエリアスが大好きだなぁって、考えてた」

「!!」

 率直に告げると、ただでさえ蒸気していたエリアスの白肌が、さらに赤くなる。
 困惑そうに眉を寄せるけれど、紺碧の瞳にはもう怯えも恐怖も浮かんで折らず、代わりに引き結んだ口元がむずむず動いている。
 頑固な唇をペロリと舐め上げた。

「何がまんしてんだよ。ニマニマしていいぜ」

「っ!し、しませんっ!」

「エリアス、愛してる」

「〜〜っ!」

 エリアスの両腕が首に回され、顔を隠すように強く抱きつかれた。
 見えないけれど、蕩けるような笑みを浮かべているのが、はっきりわかる。


――鉄格子の向こう側に、ようやく手が届いた。
 
 終




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