自覚-4
「だって……ぶっちゃけ関係無いっつうか……かやの外っつうかさ……」
「そんなの関係なくったって関係ないじゃん?!行きたいって思ったんでしょ?ポロちゃんを守りたいってさあ?!」
エンはケイの頭をゲシッと踏みつけてグリグリする。
なんか最近、良く頭踏まれるなぁ……と頭の隅を掠めたが、それこそ今は関係ない話だ。
「だけどっ!俺、ホントに邪魔だし……」
喧嘩なら得意だが、体術、剣術その他諸々……正式に習った事は無いし、命がけの戦いなどした事も無い。
魔物襲撃事件の時も、主に偵察や連絡係……バトルには参加していないのだ。
一般人なら当たり前の事だ。
「戦うだけがバトルじゃないって分かってる筈だよ?!」
「じゃあ俺に何が出来るってんだよ?!」
いい加減、腹の立ってきたケイはエンの足を手で振り払ってバッと立ち上がる。
一応、師弟関係ではあるが同い年だし身長ならケイの方が高い。
更に、体格もケイの方が良いのでケイが立ち上がるとエンを上から見下ろす形になる。
「そんなの自分で考えなよ?」
睨み付けてくるケイにエンはあっさり答えて、小指で耳をほじりながら横を向いた。
「ヒントは彼らには無くてケイに有るもの……かな?」
ゼイン達に無くて自分に有るもの?
魔力?いや……当てにならない魔力など無いようなものだ……だとしたら……。
「……アースと姫様来てる?」
じいっとエンを見たまま問いかけたケイに、エンはにまぁっと人の悪い顔になった。
「そっちまで手ぇ伸ばしちゃう〜?来てるよぉ?」
それを聞いたケイはバッと身を翻して城の中へと走って行く。
「ボクの事も忘れないでよねぇ〜」
その背中に向かってエンは間延びした声をかけた。
「魔力以外で奴らに無くて俺に有るもんって言ったら……妙に強い仲間だっ!!」
ついでに無駄に強力な権力までも、もれなくついてくる妙に強い仲間。
ケイはダダダダッと階段を駆け降り、キアルリア姫の部屋のドアをバーンと開けた。
「アース!!姫様!!」
「どわっ!!」
「きゃうっ」
うっかり思いっきり開けてしまったが、アースとキアルリア姫は……まあ……愛の営みの最中だった。
「うわっごめんっスミマセンっ!!」
ケイは慌てて回れ右をして一旦部屋から出てドアを閉める。
バチッ
「いてっ」
ドアに預けた背中に一瞬、電気が走りケイは慌ててドアから離れた。
どうやら部屋に結界を張ったようだ。