サブロウ日記「今宵、シャケ缶と共に」-1
「はいよ!」
夜のお時間、お月様お星様キラキラのお時間。
ミーのお気に入りの時間帯ナンバーワンのこの時間帯。 理由は目の前にあるまさにエンペラーな食べ物のためにゃ。
その名もシャケ缶、ミーのいきつけのお兄さんが時々くれる至高のお味………
にゃにゃにゃと嬉しそうに声を出して食べるミー、もう最高にゃ。
猫生の秘訣に愛嬌有り、人間様で言うとホスト? なミーは愛嬌振り撒いて生きるのも得意。
人間様から頂くのはお金じゃなくてお魚にゃ。 ギブアンドテイクでお互い幸せにゃ。
ここの人間様、浪人生。
勉強の合間ミーに構ってくれる良い人間様。
でも、人間様はこの浪人様を馬鹿にするにゃ。 勉強、学力、知識。 無いと大変人間様社会?
猫のミーには分からないにゃ、言わばミー達猫にとっての、愛嬌、野生の勘、逃げ足に匹敵?
そんなことミーには関係無いのにゃ。 要は優しさ、楽しさ、お魚さ。
でもこのお兄さん、優しい、楽しい、シャケ缶と三拍子揃っているのにゃけど一つ不満。
「良し良し、良い子だ三郎太。」
太、ってなんにゃ!?
三郎太、お兄さんがミーに付けたお名前、本名にニアピン。
ここまで来たらサブロウって呼んでほしかったにゃ…
そんなニアピンなお兄さんの所をまたにゃ、としてミーは塀の上。
道行く人間様を見ていたにゃ。
思うに人間様、人間様的価値観がお好き。 他の価値観ご存じ無い?
ミーもミー的価値観があるけどにゃ。 確かにミー的価値観に偏りがち。
偏っちゃう価値観じゃあ、偏っちゃう思考。
かと言って変えられるもんでも無し、考えるだけ無駄かにゃ?
いやいや、ミーは考えるだけでも考える前とは違うミーに成れるにゃ。
人間様も同じ、考えるのは大事にゃ。 たまには猫の気持ち、考えてみるにゃ?
価値観価値観、たまにはなりきりで別な価値観になるのも良いにゃ。 それに失敗は無いにゃ。 残るのは考えたと言う経験にゃ。
前向き前向き、病は気から、幸せは自身の自信からにゃ。
口の中に残る至高のお味を味わいながら、今夜は亀の気持ちになってみる。
月夜に野良猫、今宵シャケ缶と共に。