告白2-3
彼をおそるおそる見やると、大きな手を少し上げてビンタのスタンバイをしている。
……ヤバい、本気だ。
「マジで無理だから! ごめんなさいってば!」
とにかく許してもらいたくて、何度も叫ぶように謝った。
「じゃあこれは?」
目の前で彼は、上げた右手の親指と中指で丸を作って私に見せた。
……デコピンだ。
しかも残りの指がピーンと張っていて、やられたらすっごく痛そうなヤツ。
ゴクリと生唾を飲み込む。
同時に、以前何回かデコピンされたときの鈍い痛みが蘇った。
この人のデコピンだけはなぜか本当に痛い。
何度か被害に遭っている私はその威力を熟知していたつもりだった。
冗談めかした場面でも、赤みがなかなか消えないほどの威力があるのに、今はましてキレているから、きっと今まで以上の強さでデコピンしてくるだろう。
「それも勘弁して! ホントいやだってば!」
もはや半狂乱になっている私は、彼に掴まれた左手首を振り払おうと、必死にブンブン振り回した。
絶対、絶対ヤダ!!
そんな様子を眺めていた土橋くんは、やがて残念そうに、
「……わかったよ」
と、掴んでいた手をそっと離した。
やっと許してくれた……。
私はホッとして掴まれていた左手首を優しくさすりながらゆっくり呼吸を整えた。
だけど、彼はすぐさま、
「じゃあこれな」
と、私に向けて声を投げかけた。
「え!?」
まだ何かあるの!?
びっくりして彼を見上げると、目の前に彼の顔があって、私はさらに目を見開いたまま固まってしまった。
同時に、唇に電気が走ったような気がした。