告白2-2
緊張し過ぎて力が余計に入ってしまった私の平手打ちは、相当痛かったらしい。
「テメェ、何すんだよ」
ギロッと鋭い眼差しが私を捉える。
「い、郁美が土橋くんのことぶん殴ってきてって言ってたの思い出して……」
言い訳しながらも、私は一番マズいタイミングで土橋くんに平手打ちをしてしまったことに気づき、全身から嫌な汗が噴き出すのを感じた。
「……へえ、なるほどな」
意地悪っぽく笑うと、彼は腕組みをして私にズイッと詰め寄った。
彼の妙な威圧感に、体が自然に縮こまり俯いてしまう。
「まあ、郁美に頼まれたんならしょうがねえな」
“しょうがない”という言葉に私はホッとして顔をあげた。
でも、彼はすぐにニヤリと笑うと、
「……でも、いくら郁美の頼みでもお前に殴られたのは納得いかねえ。郁美にならどんだけ殴られようが刺されようが文句はないけど、お前が殴ったのはさすがにちょっとムカついた」
と、私の左手首をガッチリ掴んできた。
決して甘い雰囲気で掴まれたわけじゃない左手首から、ゾワゾワと鳥肌が広がっていくようだった。
「え……、だって郁美が」
“郁美”という免罪符を持ってしても、彼の怒りは収まらないらしく、
「……手加減してやるから仕返ししていい?」
と、さらに掴んでいる手に力を込めてきた。
その痛みに顔を歪めながらも、私は彼の地雷を踏んでしまったことにようやく気付いて、
「ご、ごめんなさい! ホントごめんなさい!」
と、下半身だけジリジリ後退しながら必死に謝った。