告白2-10
目を閉じて待っていた私は、唇じゃなくおでこに柔らかい感触を受けた。
思いもよらぬフェイントにびっくりして彼を見つめる。
見れば土橋くんは、真っ赤な顔をしながらも、
「あんまり調子にのると、またお前に怒られるからさ」
と言い、ニッと笑っていた。
正直、肩透かしを食らった私は、何も言えずに彼のしてやったりという得意顔を呆然と見ているだけだった。
……コイツ、ムカつく!
やっぱりからかわれていたような気がして、変な期待をしていた自分がすごく恥ずかしくなった。
そんな私の心の内を見透かしたかのように、彼はニヤリと笑うと、
「口にしてもよかった?」
と詰め寄ってきたので、私は慌てて
「い、いや! これで充分満足だから!」
と、手をブンブン振って否定した。
満足って……我ながらわけわかんないことを言ってるし。
結局私はコイツには勝てなくて、ペースを乱されてばかりなんだなと思い、悔しさと恥ずかしさで、両手を火照った頬にあてて俯いた。
彼はそんな私を見てプッと笑うと、
「俺はこれで満足」
と、私の体をグッと抱き寄せた。
冗談めかして言い放った言葉とは裏腹に、抱きしめる腕の強さからなんとなく彼の気持ちが伝わってきたような気がした。
ま、いいか。
彼のペースに振り回されてムカつく気持ちもあるけど、やっぱりこれが私達らしいのかな、なんてぼんやり考えると気付かないうちに顔がだらしなく緩んでしまった。