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爛熟女子寮
【学園物 官能小説】

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爛熟女子寮(2)-1

 それから3日後、入寮から一週間経った日の夕方のこと、私は同期の須田絵理から金管長の部屋に集合するようにと伝言を受けた。
「一緒に行きましょう」

 絵理は女子では珍しくチューバを専攻している。楽器と同じく大柄でふくよかである。でも肥満体ではない。腰のくびれもあって胸やお尻など出るところは人並み以上でボリュームがある。しかも色白で目がぱっちりしていて笑顔に何ともいえない愛嬌があって私は好感を持っていた。

 金管長というのは金管楽器専攻の寮生の責任者で、本当は班長というらしいが、他にもピアノや声樂の班長がいるので分かりやすいように言っているようだ。
 その時の金管長は下條美和子といった。4年生だったが、一度受験に失敗していたから齢は23歳だった。それは後から知ったのだが、他の誰より大人に見えたものだ。

 絵理と部屋に行くと、すでに同期の三田玲奈と杉本サリーが来ていた。玲奈はトランペット、サリーはトロンボーン。寮にいる金管の一年生は4人だけである。もともと女子の金管楽器専攻は少ない。上級生も下條美和子と白幡由希という2年生がいるだけである。

 部屋は4畳半の洋間。ベッドを置いて、机と小さなタンスだけでいっぱいになる。狭いけれど、各部屋の隣にはそれぞれ防音された練習室が備わっているから不便は感じない。
 美和子と由希はベッドに胡坐をかいていた。2人ともジャージ姿で睨みつけるように私たちを見回し、
「集合かけたらすぐ来なさいよ」
威圧感があってとても怖かったのを憶えている。
「最初だから大目にみるけど、今後気をつけて」
後から、絵理がのんびりしていて時間を忘れてしまっていたことを知った。

「さっそくだけど、落ち着いた頃なので、みんなに規則のことを言っておくわね」
白幡由希が言った。話し始めたのは入浴時間のことである。
「入浴時間が決まってるのは知ってるわね」
午後5時から10時まで。それは入寮の時に管理人から説明を受けていたし、この一週間、外泊した時を除いていつも同期と入っていた。
(誰か時間外に入ったのかしら)
まだうっかりということもある。

「これから毎週土曜日は、金管は10時に入浴することにします。全員で」
(?……どういうこと?)
意味が解からず、私は伏せていた顔を上げて美和子と由希を交互に見つめた。他の子も口には出さないけれど何のことか理解できなかったと思う。
「まとまりをよくするためよ」
美和子が説明を始めた。金管は人数が少ないからよりお互いを知ることができる。仲良くしてコミュニケーションを密にすれば勉強にもプラスになるし、充実した寮生活、学生生活を送れるという趣旨の話だった。その一つの方法として、お風呂。
「裸の付き合いっていうじゃない」
その時「ぷっ」と噴き出したのは玲奈である。
「何がおかしいの?」
由希のきつい声が飛んだ。
「いえ、何も。咳が出そうになって…すいません」
明らかに可笑しかったのだと思う。裸の付き合いっていう言い方が私たちにはまるで馴染みがなかったからだ。
 説得力のない理由だったけれど私たちは黙っていた。先輩に反論することはできない。しかし、ひとつ疑問に思って私はおずおずと訊いた。
「10時っていうと、お風呂が終わる時間ですよね」
「そう。規則ではね。でも大丈夫。12時まではいいの」
黙認されているという。
 音大生は学外で活動することがけっこうある。演奏会やそのリハーサル。外部の先生にレッスンを受けている学生もいるし、コンサートを聴きに行くことも単位になっている。遅くなって食事は外で済ませてもお風呂はそうはいかない。だから規則はあっても融通が利くらしい。
「その中で、土曜日の10時からは金管の時間なの」
「他の科の人は入れないんですか?」
「そうよ。貸し切り。他の班長とは話がついてるから。だからゆっくりできるわよ」
私はそれきり黙ってしまった。何か質問しようにも分かったようでよく分からない話だった。
(ゆっくりするなら早い時間に入った方がいい…)

 美和子の部屋を出て戻る途中、誰も口を利かなかった。みんなもどう理解していいのかあれこれ考えていたのだと思う。
(変よ、絶対。10時にみんなで一緒なんて。同期ならまだしも、先輩とじゃ煩わしい)
私は先生に失望したこともあって寮に入ったこと後悔し始めていた。

 ドアがノックされて絵理が顔を覗かせた。
「いまいい?」
「入って」
「うん。みんな一緒なの」
絵理に続いて玲奈とサリーも入ってきた。
「あら、杉本さんも三田さんも初めてね、私の部屋」
「お邪魔します」
玲奈は小柄で人形みたいに可愛い子だ。中学生っていってもわからない。あんなに小さくてよくペットが吹けるなって感心する。サリーはお母さんがスイス人のハーフだと絵理から聞いていた。身長が170近くあって、すらっとしたモデルみたいな美人である。肌も白くて西洋人によく見られるソバカスやシミもなくて、どんなファッション雑誌でも通用する容姿だと思う。
 椅子はひとつしかないから私が座って、3人はベッドに腰掛けた。
「ベッドカバー、可愛いね、プーさん」
玲奈とサリーはきょろきょろ部屋を見回していた。絵理と私は部屋が隣ということもあって何度か行き来していた。どの部屋も同じだし、装飾だって似たようなものだ。みんな落ち着きがなくてどうでもいい話をしていたから、連れ立ってきたのはお風呂のことだと思った。

「だけど、10時って遅くない?」
私が口火を切ると一斉に話が飛び出してきた。
「そうよ。おかしいよ。あたし、先輩なんかと厭だ。これからずっとだよ」
「卒業すればいなくなるわ」
「それだって1年ある。白幡さんは2年」
「留年したりして」
「やだ、そんなの」
「留年したら寮にいられるの?」
「知らないわ」
ともかくみんな厭なのだ。もちろん私だって。……


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