その時は私がいるではないか-4
「…………え? 秋子さんっ!? な、なに脱いでいるんですかっ???」
あまりのばつの悪さにしばらく僕が口を閉ざしていると、
突然、秋子さんは何を思ったのか、
おもむろに長い髪を掻き上げては手を伸ばし、
身に纏ったTシャツをするすると脱ぎはじめていった。
「うん? 答えが無いと言うことはつまり認めたという事だろう?」
そう言って秋子さんはにっこり僕に微笑みかけたかと思うと、
腰をあげ、躊躇うことなく下着を脱ぎ捨てては、
一糸纏わぬ姿を僕の目の前にさらけだした。
存在感ある二つの膨らみにキュッと締まった細いウエスト、
まるでモデルのようなその体型は、
普段の白衣姿からはとても想像がつかない。
「どうした? 私の体にどこかおかしな部分でもあるか?」
「そ、そんなこと…………」
「そうか、なら早く君も服を脱ぎたまえ。
ああ、それとも何か?
こういう場合は私が脱がしてあげたほうがよいものなのかな?」
そう言いながら秋子さんは僕のシャツに手をかけたかと思うと、
特に何を気にする様子も無く、当たり前のようにその袖を抜きはじめた。
「あ、秋子さんっ…… ちょ、そんな…… ホントに…………?」
秋子さんの細い柔らかな手が僕の頬を優しく撫でる。
首筋に手を巻かれ、そっとその頬が重なったかと思うと、
いつの間にやら僕は押し倒される形で、秋子さんに唇を塞がれていた。
いったい何が起こっているのかわからぬまま、されるがままにその身を任す僕。
密着した柔らかな肌はとても暖かく、塞がれた唇は焼けるように熱い。
どこか幻想的なこのシチュエーションに酔いしれるも、
やっとの思いでおさまりかけていた股間が、
またもはち切れんばかりに膨らんでしまっているのがどこか恥ずかしかった。
「嬉しいな………… こんな私でもちゃんと和也のここは反応してくれるのだな」
「こんなだなんてっ 僕にとって秋子さんは……
だ、誰よりも魅力的で尊敬出来る…… かけがえのないない女性ですから…………」
僕はこの時、生まれて初めて歯の浮くようなセリフを口にした。
それは決して雰囲気に流されたその場限りのものでなく、
陳腐に思えてもなおその言葉しか思いつかなかった心からの言葉に他ならなかった。
「ふふ、まいったな…………
性心理学の権威だなんて大層な肩書きを手にしながらも私は………
まだまだ未熟な自分を思い知らされるような気分だよ…………」
「ど、どうしたんですか急に? え? あ、秋子さん何を…………?」
すると突然、秋子さんは僕の手首を握りしめたかと思うと、
ゆっくりと導くように、その手を自らの秘部へと当てがわせていった。