センタク-7
部屋に入ると意外なほど片付いている。
入って左にベッドがあり、真正面にテレビ、真ん中にテーブルとデジカメ・ノートパソコン、右には本棚とオーディオ機器、机、椅子などがあり、まだ細かいものは色々あるがそんなところであろうか。
「座って。」
そう促す男の手はベッドをさし、男はさっさと椅子へと座る。
これも男の策であった。
「えっ?」
「座って。」
「でも…、」
「早く!お話早く終わんないっしょ?」
「は、はい」
亜希は戸惑いながらベッドに座った。
座ると臭いがする。
オヤジ臭い、父親と似たような臭いだった。
(オッサンくさっ!)
そう思ってると、
「じゃあ例の件ね。」
現実に引き戻される。
そう、自分は学校帰りにエッチな本を見ながらいけないことしてしまい、更にそれを写真に撮られてしまった。
(謝ろう。)
そう決めていた亜希はすぐさま謝った。
「ごめんなさい!もうあんなことしません!許して下さい!すいません!だからあの写真消して下さい!お願いします!」
いきなり謝ってきたので面喰らってしまったが、[あの写真]、この言葉に引っ掛かりを感じ、
「ちょ、ちょっと待って。写真?あ〜、写真ね、はいはい。」
拓哉は考えを廻らせる。
(写真を撮られたと思っているのか…。なるほど。どうしようかな。今ここですぐに許して、はい消去じゃあ何にも出来ないな。どうする?なんかいい手ないかな?なんかいい手。なんかいい手…。………。)