告白1-11
彼はハッとした顔をこちらに向けた。
「……元々、もう友達でもいられないなら、明日学校で土橋くんに告白して思いっきり振られるつもりだったの。でもさっき郁美が家に来て、別れたって話を聞かされたとき、頭が真っ白になるくらいびっくりしたけど……、どこかで喜んでるひどい自分がいた」
「石澤……」
自分の正直な想いを口にすると、いかに自分が汚い人間であるかを思い知らされて、私はまともに土橋くんの顔が見れなかった。
「振られるつもりでいたくせに、郁美の話を聞いてもしかしたら……なんてちょっと期待してしまう私だって最低。郁美はきっと今も泣いているかもしれないのに……」
「…………」
郁美のことを思うと、これから自分のしようとしていることは果たして正しいのか、また少しためらってしまう。
土橋くんを見れば、なんとなく顔を強張らせて私の言葉を待っているようだった。
そんな様子にまた怯みそうになるけど、郁美が“頑張って”と穏やかに微笑んでくれた顔を思い出して、手をグッと握りしめた。
泣いてる友達差し置いて告白なんて卑怯だし、もしかして“頑張って”って言葉は本心じゃないかもしれないけど、あの娘が背中を押してくれたのなら、自分の想いはきちんと伝えたい。
……最低な友達でごめん。
私はゆっくり息を吸い込むと、震えた唇をそっと開いて、
「私、ずっと土橋くんのことが好きでした」
と小さな声で言った。