エロい会話-1
会話の内容がだんだんと三郎の好む方向に向かっていき、
彼は少し調子に乗ってきたようである。
あの美紀子は、本当はこの手の話題が嫌いではなかった、
言い換えれば好奇心があると言えばいいのだろう。
ただ、本当の心とは裏腹に、
会話の冒頭で、ちょっとした正義感を感じて口走ってしまったようである。
彼女は襟を正して言えるような、潔癖な倫理観を持ち合わせているわけではない、
それを、皆に分かってしまうのではないかという不安がよぎるのだ。
「どうぞ三郎さん、どなたに何をお聞きしたいのですか?」
信一郎に聞かれ、彼は照れ笑いをしながら言った。
「そうですね、あの人です、名前は、ええと、あぁ…美紀子さんと言いましたかな」
そう言われて美希子はどきっとした。
「あ、あの私ですか?」
「はい、さっきから少し気になったので、少しお聞きしたいのですがね」
三郎の目が妖しく光った、ここで意地悪く人妻を虐めてやろう、
という魂胆なのか。
「ええ、何でしょう?」
「なんて言いますかね、あなたの性と言うか、セックスというか、
そのことは先程聞きましたが、どこか私は気になることがありましてね」
「は、はい、どんなことでしょう」
今度は話題が自分に向けられて、美紀子はどきっとした。
確かに自分は一人の娘を持つ母親としては、娘に結婚するまでは綺麗のままでいて欲しい
そう思うのは偽らざる気持ちだった。
実際に彼女は娘がどんな行動してるのかよくは知らない。
ただ自分が今までしてきた過去の行動と違う理想を言ったまでである。
それを、あのしたたか者の三郎に何を聞かれるかと思うと、
思わず胸がドキドキとしてくる。
「ここでは、我々参加者が司会者の信一郎さんのレポートに書いたように、
全て本当のこと話しましょうよ、どうせ分かることだから、ねぇ美紀子さん」
「そ、そうですね三郎さん、分かりました、どうぞ、それで何を聞きたいのですか?」
ここで美紀子は観念して、ソファーの上で座り直した。
「あなたは、今でも旦那とセックスをしていますか?」
「え、ええ、たまにですけれど」
「ではどちらから求めて来ますかね?」
「そんな…」
美紀子は少しためらったが、思い直して言った。
「主人よりも、どちらかというと私かもしれないわね」
「ほお、それは興味深いですねぇ、そんな時には色っぽく迫るんですかね、
どんな姿ですか、もし宜しければ、そういう話は興味があるんでね」
周りの参加者たちは、そんな二人のやり取りをじっと見つめている。
美紀子は、ここまで来れば、もう隠すことなく話すしかないと思った。
「食事が終えてゆっくりとしている時に、それとなくそんな仕草をします、
ちょっと主人の手に触れたり、背中に触れたりとか、
さり気ないそんなことで、
主人が分かるみたいです、まぁ、気がつかない時の方が多いですが」
クスクスと誰かが笑う。