謹賀新年2013-1
『明けましておめでとうございます』
「え?あ、おめでとうございます」
『申し遅れました、私ドロンボといいまして…こういう者です』(ペラ
「け、警察…っ!」
『はい…。失礼ですが、田中ピカチュウさんですね?』
「違うよ!何で人を勝手にキラキラネームにすんの!?みつひろ!田中光広!本当に失礼だな!」
『ピカピカ〜?』
「ピカチュウ語わかんねぇよ!何なんですか一体!」
『いやね、昨夜…殺人事件がありましてね』
「殺人、ですか」
『どうやら貴方の同僚の方らしいんですよ』
「だ、誰なんですか」
『貴方ならご存知かと思いまして』
「し、知りませんよ!」
『そうですか。ちなみに昨晩は何をしてらっしゃいましたか?』
「友人の家で飲んでました。カウントダウンを一緒にしまして」
『カウントダウン?』
「ええ、友人が証言してくれますよ」
『待って下さい。それはおかしいですね』
「え?」(ギク
『友人のお宅でカウントダウンをした、そう仰いましたね?』
「え、ええ、何か問題でも?」(ドキドキ
『私は「昨晩何をしていたか」を聞きました。しかし貴方は迷うことなく深夜0時付近という明確な時間を示しましたね?
「っ!!」
『そうなんですよ、その方が亡くなった時間が今貴方が仰った【0時前後】なんです』
「ぐ、偶然ですよ!大晦日の日の昨晩なんて聞かれたらそりゃ、…その時間帯って考えてしまいます!」
『そうでしたピカ』
「そうでしたか、でいいだろ!何でそこであえてピカを挟むんだよ!」
『ピカピカ?』
「頭指すな!悪かったな禿げてて!」
『それで名前が光広なんですか』
「全国の光広に謝れ!」
『どうりで額が広く輝いてるわけだ』
「余計なお世話だよ!帰ってくれもう!」
『ご友人には確認が取れてます。貴方とお酒を飲んでいた、と。つまり…貴方のアリバイは完璧です』
「じゃあもういいでしょ、では失礼!」
『ちょっと待って下さいハゲ広さん』
「わざとだろ?おい、わざとだな?!」
『ちょちょ、暴力はいけませんよ光ハゲさん』
「てめぇ!」
『いやぁ、でも気になることがあるんですよね』
「何がだよ!」
『胃の…内容物です』
「っ!!」
『検死結果なんですが、被害者の胃の内容物がほとんど残って無かったんですよ。死亡推定時刻を計る目安でもあるんですけどね、これ』
「そ、それが何か?」
『しかも池の畔から死体が上がりました。これでは死体に水分が含んでしまい、また死亡推定時刻に狂いが生じてしまいます』
「だ、だから何が言いたいんですか!」
『…分かりませんか?』
「っ!!?」
『貴方は…ライチュウにはなれない!』
「ピカチュウから離れろぉおお!」
『いつまで経っても進化出来ない!万年平社員だ!』
「余計なお世話だよ!!指差すな!」
『ちょ、太陽拳は卑怯ですよ天さん』
「使ってねぇよ!誰が天さんだっ!」
『ナッパ?』
「Z戦士ですらなくなった!」
『亡くなった被害者は初期のヤムチャくらい髪が長かったそうですwwwナッパには辛いwww』
「くっ!でもアイツは眉毛が薄くて顔色悪かったからアダ名はピッコロさんだったもんねー!」
『ほう、知ってるんですか?被害者のこと』
「ああ?そりゃ知って……はっ!」
『……まだ報道もされてませんし、被害者の名も明かされてません。どうして、知ってるんですか?』
「…く、くそうっ!!この俺様が…俺様がぁあ!」
『いくらベジータのように言っても…ナッパはナッパです。話して…くれますね?』
「……そう、俺はちょうど今のようにナッパとかクリリンとか呼ばれてた。俺だって、俺だって好きで禿げたわけじゃない!」
『家系…ですか?』
「…違う。親父もお袋も爺さんも婆さんもみんな禿げてなかった!」
『突然…変異!』
「……いや、隔世遺伝とか、そういう風に言ってくれない?そんなにミュータント扱いしたいの?」
『失礼しました』
「憎かった…髪のある奴が。特に社会人のくせに長髪にしてるアイツが憎くてっ!!」
『思えば…ベジータもMっパゲでしたね』
「……いや、別にそれ関係ないけど」
『しかし、殺人は殺人。貴方はやはりライチュウにはなれなかった』
「それもよく分からないんだけど、いまだに」
『貴方を殺人、死体遺棄容疑で緊急逮捕します』(カチャ
「…すいませんでし」
『ハゲモン、GETだぜ!』
「罪状増えてもいいから殴っていい?」