2分間の消失-1
『犯人は君です』
「僕が!?まさか!身内を疑うのですか?冗談が過ぎますよドロンボさん!」
『どう考えても貴方しか居ないんですよ』
「上司といえど本気で怒りますよ?」
『だってそうでしょう?貴方と私しか他に居なかったんだから』
「馬鹿な!僕ら以外にも沢山居たじゃないですか!」
『往生際が悪いですね』
「濡れ衣ですから!」
『ではこの惨状を君はどう説明するのですか?』
「知りません」
『知らないはずはない。私が電話で席を外した2分間の間に君は犯行を犯した』
「馬鹿言わないで下さい!2分ですよ!2分!ドロンボさん、2分で何が出来ますか?」
『しかし状況証拠としてあなたが犯人と物語っている』
「状況証拠は実質的な証拠にはならない!無効ですよ!」
『あくまでも白を切りますか』
「当然です」
『では私のこのチャーシュー麺のチャーシューが2枚無くなっている事に何の疑問も感じないと?』
「だから食べたんじゃないんですか!?ドロンボさんが!」
『そんな時間はありませんでした。いいですか?このチャーシュー麺の提供時間は12時21分だった。それは確認済みです。そして私はラーメンは汁から先に飲みます。これは自分の中の決まりですから。ところが12時22分、署からの電話で席を外してるんです。私は実質汁しか飲んでない』
「だから知りませんってば」
『戻ってきたら焼豚5枚が焼豚3枚になっていた。3枚ですよ?これではチャーシュー麺じゃない。今時焼豚3枚のチャーシュー麺なんてありませんよ。隣には君が座っていたんです。他の人間が食べようとしたら流石の君も止めるでしょう?』
「ドロンボさん、最初から3枚だったんじゃないんですか?」
『君もいい加減くどいね。私は枚数を確認したんですよ。こう、ほら、見なさい。真ん中のもやしを中心に円を描くように並べられた焼豚を』
「知りませんってば!くどいのはドロンボさんでしょ!」
『罪を認めて焼豚トッピングを弁償すれば済む話じゃないですか。焼豚2枚で随分ケチくさいですね』
「人のこと言えますか!?皆ドロンボさんと組みたがらない理由が分かりましたよ!」
『論点をすり替えない。いいですか?私の焼豚を食べたのは君しか居ないんだから、その――――』
店主「お客様、焼豚2枚サービスしますからとっとと食って早く出てけ」
『…儲けました』ホクホク
「もう課長に言ってコンビ解消させてもらいますから!」