報告-8
「……そっか」
郁美は目をしばらく閉じて何かを考えているようだった。
やがて、パチリと大きく目を開けると、
「だったら今から告ってきなよ。今日も明日も同じでしょ」
と、ニッコリ笑って言った。
「む、むちゃくちゃ言わないでよ! 心構えだってできてないのに……」
「えーっ、だって。桃子は、あたしの話聞いて今すぐ修に会いたいって思わなかった?」
「…………」
私は黙って俯いて口を尖らせる。
確かに郁美の話が本当だとしたら、今すぐ飛んでいって彼の気持ちを確かめたい。
「大丈夫だって、こういうことはある程度勢いが必要なのよ! それにもし桃子が振られても、あたしと一緒になんか美味しいものでも食べながら失恋パーティーでもしてあげるから、安心して告ってきなよ」
郁美の突拍子のない言葉に、思わず私は彼女の顔をまじまじと見つめた。
赤く潤んだ瞳の郁美は至って真面目に、自分がいいアイディアを思いついたような少し得意気な顔を私に向けている。
冗談を言ってるわけではないんだと思うと、私は急に可笑しくなってきて、ついには盛大に噴き出し涙が出るほど笑った。
「な、何よ……。あたし、そんな変なこと言った?」
郁美はカアッと顔を赤らめて、プーッと頬を膨らましむくれて見せた。
私はそんな郁美を見ながら、お腹を抱えて、布団に顔をうずめるようにして、笑ったフリをしていた。