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アンバランス×トリップ
【ファンタジー 官能小説】

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真相-1


「シグナーのアジトはここで良い?」

 ケイの問いかけにスランは地図を覗き込んで頷いた。

「じゃ、このビアズリーの外れの街で待ってるよ」

 指を滑らせて近くの街を指差したケイに、スランは顎を指で叩きながら唸る。

「……いや、そこじゃ近いな……出来ればカイザスが良い。それならカイザスの庇護が受け易いだろ?」

 スランとゼインは構わないが、ケイとポロはいざという時にカイザスに庇ってもらった方が良い。

「つってもカリーは瀕死の重症の可能性が高いんだろ?出来るだけ早く治療するならここらへんじゃねえと……」

「そうだが、そこだと直ぐ追い付かれっしな……」

 スランは指で顎を掻いてゼインに顔を向ける。
 ゼインは右手をにぎにぎして何やら考えていた。

「何だ?何か思いついたか?」

 スランが声をかけると、ゼインはぶわっと腕を魔物に変える。

「……魔物形態ならもっと速く動けると思うんだけどな……」

 ゼインは魔物に変わった腕をスランとケイに見せた。

「けど?」

 それを見せても2人は特に驚かない。
 やっぱりポロとの話を盗み聞きしてたな、とゼインは確信して腕を元に戻した。

「ぶっちゃけ、魔物ん時の能力とか限界が分かんねぇんだな」

 8年前、暴走してから全身変化はしていない。
 腕とか足とかだけなら何度か試したが、全身変化まですると暴走するんじゃないかと思ってやった事が無いのだ。

「……試してみたいのか?」

 スランの言葉に、ゼインはニヤ〜っと笑ってコクコク頷くのだった。

 一行はカイザス沿岸警備兵のピートに聞いて、人がめったに来ないという沼地にやって来た。
 そこは魔物が良く出没する地域で、実際嫌な雰囲気がびしびし伝わっている。

「服持ってて」

 ゼインはいそいそと服を脱ぎ、ポロに渡す。

「はい」

 ポロは素直に頷いて服を受け取り、器用にたたむ。
 ゼインはスタスタと沼近くまで歩いて、大きく息を吸った。

「あ、スラン、なんかあったら……」

「ああ、遠慮なく殺させてもらう」

 少し振り向いて言ったゼインの言葉に重ねたスランの台詞に、ゼインは笑う。


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